連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第76話「1983」【第16週】

榊原「どないしたん?」

ひなた「えっ? あっ… いや あの… はあ… 感激してしもて…。」

榊原「そんなに好きなん? 時代劇。」

ひなた「はい!」

榊原「そうか。」

ひなた「あっ… うん? 榊原さん。」

榊原「うん?」

ひなた「あの人…。 コンテストの時の。」

榊原「ああ うん。 五十嵐君。」

ひなた「あの人も大部屋の俳優さんですよね?」

榊原「そや。」

ひなた「ここにいてるのに 何で斬られへんのですか?」

榊原「いやいや。 まだ そこまでは。」

ひなた「えっ?」

榊原「確か 五十嵐君は 養成所出たばっかりのはずや。 斬られ役も鍛錬がいるからな。 そう簡単には。」

ひなた「ほな…。」

榊原「今はまだ ああやって 先輩の斬られる姿見て 勉強してるんや。」

回想

五十嵐「アラカンの五十倍だ。 俺は超える。 アラカンも モモケンも。」

回想終了

ひなた「(心の声)『何や 偉そうなこと言うて 大部屋の中でも下っ端なんやん。』」

大月家

玄関

ひなた「行ってきま~す。」

<ひなたが条映に通うようになって 1週間が過ぎました>

俳優会館

休憩所

ひなた「おっ すんません。」

「ああ ごめんなさいね。」

「ごめんなさいね。」

「ひなたちゃん。」

ひなた「はい。」

「こっち お茶もろてええ?」

ひなた「あっ はい。」

「こっちもな。」

ひなた「ただいま!」

<ひなたは次第に 休憩所に出入りする人たちに 認識されるようになってきました>

ひなた「どうぞ。」

「ああ おおきに。」

ひなた「お待ち遠さんです。」

「ありがとさん。」

すみれ「あっ 皆さん お久しぶり。」

「誰か思たら すみれちゃんやないか。」

「久しぶりやな。」

回想

『黍様…』。

回想終了

ひなた「あ… おゆみちゃんや…!」

<それは ひなたが愛してやまない 『黍之丞』シリーズに かつてレギュラー出演していた女優の 美咲すみれでした>

「7~8年になるんちゃう?」

すみれ「さあ… もう忘れちゃったわ。 東京行ってから あんまり慌ただしくて。」

「アハハハッ そうか。」

「今日は出番か?」

すみれ「ううん。 まずは打ち合わせ。」

「ふ~ん。 頑張ってな。」

すみれ「ありがとう。」

ひなた「あの… 美咲すみれさん。」

「アルバイトのひなたちゃんや。」

ひなた「あ…。 あの サインもろてもいいですか?」

すみれ「いいわよ。」

ひなた「あ… あっ ありがとうございます! あの… あっ 色紙買うてきます!」

スポンサーリンク







シェアする

フォローする

スポンサーリンク