大月家
回転焼き屋・大月
ひなた「なあ お母ちゃん 知ってた?」
るい「何を?」
ひなた「モモケンさんが二代目襲名したん 昭和40年4月4日やねんて。」
るい「へえ~! ひなたのお誕生日やね。」
ひなた「うん。」
<知らない間に 『大月』回転焼きが 大好きな時代劇スターたちの運命を 動かしていたなんて。 ひなたは とても誇らしく思いました>
商店街
森岡「お~ ひなたちゃん。 お帰り。」
ひなた「ただいま。」
サンタ「あんたが作ったん? これ。」
ひなた「あれ? サンタのおっちゃん?」
サンタ「お~ ひなたちゃんじゃ。 あんた ここら辺の子ぉじゃったかな。」
ひなた「はい。」
サンタ「ふ~ん。 こねえだのオーディション どうじゃった?」
ひなた「あ~ まだ選考中みたいです。」
サンタ「五十嵐っちゅう にいちゃん 選ばれたらええのう。」
ひなた「えっ?」
サンタ「ひなたちゃんのええ人なんじゃろ?」
ひなた「あ… いや いや いや…! そんなんやありません。」
サンタ「おっちゃんな もう そねえなんだけ鋭んじゃ。 あのにいちゃんの時だけ ひなたちゃんの目つきが変わりょうった。」
ひなた「え…。 あっ あの サンタさん。 今日は 何で ここに?」
サンタ「それな。 あの~ 『大月』っちゅう回転焼き屋 知らんかな?」
ひなた「えっ?」
サンタ「うん?」
ひなた「えっ それやったら うちですけど…。」
サンタ「お~ そうか。」
ひなた「何でですか?」
サンタ「いやな ダンゴちゃんが お気に入りの店じゃいうて… まあ いっぺん 食うてみゅう思ったんじゃ。」
ひなた「そやったんですね。 うれしいなあ。 こっちです。」
サンタ「おっ。」
ひなた「おじちゃん ただいま。」
吉右衛門「お帰り。」
サンタ「舌の肥えたダンゴちゃんじゃ。 間違えねえじゃろう。」
大月家
回転焼き屋・大月
ひなた「うちのあんこは 絶品ですよ。 うん?」
サンタ「ひなたちゃん見てると 妹を思い出すんじゃ。」
ひなた「おっちゃんの妹? おばあちゃんやん。」
サンタ「そら 今は おばあちゃんじゃ。 長えこと会うてねえからのう。」
ひなた「ふ~ん。」
サンタ「何じゃあ ここか。」
ひなた「うん そう。 お母ちゃん ただいま。」
るい「お帰り。」
錠一郎「るい?」
るい「うん?」
錠一郎「るい。 あ… るい。 あの… シャツ どこやった?」
るい「あのシャツて?」
錠一郎「あの~ ほら こないだ おしょうゆ こぼしたやつ。」
ひなた「もう お父ちゃんのシャツは 皆 そうやんか。」
錠一郎「ああ ひなた お帰り。」
ひなた「ただいま。」
サンタ「るい…。」
回想
算太「お名前は?」
ひなた「るいです。」
算太「『るいです』 そっか~。 かうぇえらしいのう。」
回想終了