♬~(レコード)
健一「戦争が終わって帰ってきた時 行き違いがあってのう。 わしゃあ てっきり 父さんが 死んだもんじゃとばあ思い込んで 復員船の着いた横須賀へ そのまま居ついとったんじゃ。 しゃあけど… 父さんが もうおらんのも 父さんの店がねえのも承知で 岡山へ来たんじゃ。 そしたら…。」
回想
♬~(レコード『On the sunny side of the Street』)
健一「父さん…。」
回想終了
健一「孫の一人が ひいじいちゃんの店 一緒にやろうや言うてくれてのう。」
(ドアが開く音)
慎一「じいちゃん。」
健一「うん?」
慎一「おはぎ買ってきたよ。」
健一「はい ご苦労さん。」
慎一「ひいじいちゃんにお供えしとくね。」
健一「ああ。 あっ 孫の慎一じゃ。 大月さん。」
慎一「いらっしゃいませ。」
健一「こねえなこともあるんじゃのう。 稔さんと安子ちゃんが結婚して 娘が生まれたいうなあ 父さんから話聞いとったけど…。 まさか こねえして 錠一郎君の奥さんとして 来てくれるたあのお。」
健一「安子ちゃんのこたあ うわさで聞いた。 娘ょお捨てて 進駐軍さんとアメリカ行ったいうて 悪う言ようた人もおったけど…。 安子ちゃんは そねえな子じゃねえ。 わしが保証する。 何せ わしゃあ 稔さんと安子ちゃんの 初デートの目撃者じゃからの。」
るい「初デート?」
健一「ああ そうじゃ。 テーブル席に座って… コーヒー飲みょうった。」
回想
安子「あ…。 ありがとうございます。」
稔「May I put sugar in your coffee?」
安子「あっ はい。 フフフッ。 あ… イエス。」
回想終了
健一「アッハハハッ。 はい どうぞ。」
るい「ありがとうございます。」
錠一郎「ありがとうございます。」
健一「はい。」
錠一郎「お砂糖入れる?」
るい「ありがとう。」