リビング
<よく考えたら いや よく考えなくても 一般庶民の 大して おいしくもないクッキーを 世界的な俳優が食べるわけがない! 一流のパティシエが作ったなら まだしも よりによって ド素人の私が作ったクッキーなんか…>
ミワ「迷惑でしかない。」
池月「どうした?」
ミワ「いや 何でもないです。」
一駒「ミワさん 休憩に入ったら?」
ミワ「あっ いや でも まだ…。」
一駒「やるべきことがあるなら 先に済ませなさい。 中途半端な気持ちで拭き掃除しても 汚れは落ちませんから。」
ミワ「はい すいません。」
控え室
<いくら迷惑だとしても ここには さくらさんのクッキーも 入ってるわけで。 渡さなきゃいけないわけで>
書斎
ミワ「はあ…。」
(ノック)
ミワ「失礼します。」
<いないか…。 っていうか 何て言って渡したらいいんだろう。 試しに 練習するか>
ミワ「ふう…。 これ 食べて下さい!」
<ダメだ… 中学生の告白みたいだ。 もっと落ち着いて まず 何を持ってきたか言わないと>
ミワ「八海さん あの もしよろしければ クッキーを焼いたので 召し上がって下さい!」
<ああ~ やっぱ無理! 恥ずかしすぎる!>
八海「クッキー?」
ミワ「うわあ~! や… やつ… 八海サマ!?」
八海「すみません こんな格好で。」
ミワ「え… 役作り ですか。」
八海「ええ。 武田信玄の気持ちになってみようと 思いまして。」
ミワ「お邪魔しました。 すみません 失礼します!」
八海「ミワさん。 それは… 私にですか?」
ミワ「はい。 あっ よろしければ…。」
八海「ありがとうございます。」
<渡せた…>
八海「ああ… 手作りですね。」
<神が… 笑った>
ミワ「何の変哲もないクッキーですが…。」
八海「これは?」
ミワ「え?」
<そこには 身に覚えのない手紙が入っていた>