夜ドラ「ミワさんなりすます」(第10回)

リビング

<よく考えたら いや よく考えなくても 一般庶民の 大して おいしくもないクッキーを 世界的な俳優が食べるわけがない! 一流のパティシエが作ったなら まだしも よりによって ド素人の私が作ったクッキーなんか…>

ミワ「迷惑でしかない。」

池月「どうした?」

ミワ「いや 何でもないです。」

一駒「ミワさん 休憩に入ったら?」

ミワ「あっ いや でも まだ…。」

一駒「やるべきことがあるなら 先に済ませなさい。 中途半端な気持ちで拭き掃除しても 汚れは落ちませんから。」

ミワ「はい すいません。」

控え室

<いくら迷惑だとしても ここには さくらさんのクッキーも 入ってるわけで。 渡さなきゃいけないわけで>

書斎

ミワ「はあ…。」

(ノック)

ミワ「失礼します。」

<いないか…。 っていうか 何て言って渡したらいいんだろう。 試しに 練習するか>

ミワ「ふう…。 これ 食べて下さい!」

<ダメだ… 中学生の告白みたいだ。 もっと落ち着いて まず 何を持ってきたか言わないと>

ミワ「八海さん あの もしよろしければ クッキーを焼いたので 召し上がって下さい!」

<ああ~ やっぱ無理! 恥ずかしすぎる!>

八海「クッキー?」

ミワ「うわあ~! や… やつ… 八海サマ!?」

八海「すみません こんな格好で。」

ミワ「え… 役作り ですか。」

八海「ええ。 武田信玄の気持ちになってみようと 思いまして。」

ミワ「お邪魔しました。 すみません 失礼します!」

八海「ミワさん。 それは… 私にですか?」

ミワ「はい。 あっ よろしければ…。」

八海「ありがとうございます。」

<渡せた…>

八海「ああ… 手作りですね。」

<神が… 笑った>

ミワ「何の変哲もないクッキーですが…。」

八海「これは?」

ミワ「え?」

<そこには 身に覚えのない手紙が入っていた>

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