ミワ「紀土くん…?」
八海「ん?」
ミワ「あっ いや 何でもないです。 ホントに夜分に失礼しました。 以後 気を付けます。 では 失礼します!」
八海「ミワさん。」
ミワ「あっ はい。」
八海「せっかくなので お茶でも どうですか。」
<八海サマからの お茶のお誘い。 これは 本当に実在する世界なのでしょうか>
八海「あっ いや お急ぎなら無理には。」
ミワ「いや はい ぜひ!」
八海「一度 ミワさんに 聞いてみたかったことがありまして。」
ミワ「あっ はい 私に答えられるものなら 何でも。」
八海「私が出ている映画作品の中で ミワさんは 何が一番 お好きですか?」
ミワ「えっ…。」
八海「あっ まあ 世間的には代表作とされてるものは いくつかありますけど ちょっと 映画に詳しい方の意見も 聞いてみたいなと思いまして。」
ミワ「ああ…。」
<八海映画のベストを 私めが お答えしてよろしいのでしょうか?>
ミワ「そうですね…。 はい もちろん デビュー作の『紅の桜』も 八海ファンとしては 絶対に外せないんですが 渡米前の『フライング・フィッシュ』は ベスト5に入れたいですね。」
ミワ「人生の葛藤を あんなに軽快に描いた映画はありません。 あ~ でも 全人類に見てほしい 私的ベスト1は…。 いや~ 3つぐらいまでは絞れますけど…。 うわ~ やっぱり 2000年代以降は 特に名作しかないんで…。」
八海「あ… はい あの もう 大丈夫です。」
ミワ「ああ これだけは言わせて下さい。」
八海「はい…。」
ミワ「ベスト1を選ぶのは 不可能です。」
八海「…はい ありがとうございます。」
<ああ… 全然 答えになってない>
ミワ「お役に立てず すみません…。」
八海「あっ ちなみに シラー監督の作品はどうですか?」
ミワ「殿堂入りです。」
八海「殿堂入り?」
ミワ「はい。 あのシュールな世界観と 八海 崇のニヒルなキャラクターは 神も予想しなかった 唯一無二の組み合わせだと思います。」
ミワ「八海 崇がアメリカでブレークする きっかけになった作品ですし 同時にシラーさんの 監督人生を変えた作品であることは 間違いないと思います。」
八海「私も 彼と彼の作品が好きなんです。 まあ ヒットするかどうかは ひとまず置いといて ただ純粋に 目の前の作品のことだけを考えてる 不器用で愚直な職人みたいな人です。」
ミワ「はい 分かるような気がします。」
八海「いや ミワさんの意見が聞けてよかった。」
ミワ「いえ ベスト1 ちょっとお時間下さい。 考えます。」
八海「い… いや いいんです ただの雑談ですから。」
ミワ「いえ 必ず!」
八海「いや… どうぞ」
廊下
ミワ「失礼します。」
<それにしても 何で八海サマは今になって ベスト1の映画を聞いてきたのだろう…>
ミワ宅
<あれから帰って DVDを見ながら ベスト1を考えていたら そのまま寝落ちしていた>
ミワ「(くしゃみ) ああ… 行かなきゃ。」
道中
ミワ「あ… 紀土くん?」
紀土「おお 奇遇だね。」
<奇遇… なのかな>