藤浦「何をやってるの? あ~ いいの いいの いいの。 いいわよ 別に。」
一駒「ご主人様がどこへ行かれたのか 推理するために 家政婦たちが 気付いたことをまとめています。」
ミワ「藤浦さん。」
藤浦「ん? 八海さんが 誰かに逆恨みされてる可能性って ないですかね?」
藤浦「ん… 調べてみる。」
ミワ「お願いします。」
池月「あと 事件の可能性があるとした SNSかな。」
一駒「SNS。 最近 何かトラブルありました?」
藤浦「全部をチェックしてるわけじゃないけど 引退発表してから 暴走してるファンはいるみたい。」
一駒「それ どういう人か特定できますか?」
藤浦「そこまでは…。」
池月「誰か そういうITに詳しい人 周りにいない?」
ミワ「えっ…。」
回想
ミワ「紀土くん そういうの詳しいんだっけ?」
紀土「まあ ITコンサル的なこと やってるからね。」
回想終了
<紀土くんをここに呼ぶのは んん…>
一駒「ミワさん 何か心当たりありそうじゃない?」
ミワ「まあ あの 知り合いに一人…。」
藤浦「呼んで下さい。」
ミワ「…分かりました。」
(電話の呼び鈴)
ミワ「あっ 私 出ます。 はい。 え… あっ お迎えにあがります。」
玄関
越乃「すいません ありがとうございます。」
ミワ「越乃さん。」
越乃「今日 本当は はっちゃんと一緒の仕事だったんだけど いなくなったっていうから 心配で来ちゃった。」
ミワ「どうぞ。」
越乃「ありがとう。 お邪魔しま~す。」
ミワ「はい。」
越乃「藤浦さん いる?」
ミワ「はい いらっしゃいます。 こちらです。」
<八海サマの心の内を一番知る 越乃さんが来てくれるのは 心強い…>
リビング
藤浦「越乃さん…。」
越乃「ああ 来ちゃった。 ごめんね。」
藤浦「すみません 八海が勝手なことを。」
越乃「ううん。 ちょっと 一人になりたかったんじゃない? いや 何これ。 ちょっと大げさじゃない?」
池月「月並みですけど 引退がらみで 悩んでるんじゃないでしょうか?」
一駒「まあ そう考えるのが自然ですよね。」
ミワ「あの…。」
藤浦「何?」
ミワ「先日 シラー監督にお会いした時に 八海さんが 新作映画のオファーを受けてくれたって おっしゃってたんですけど 本当ですか?」
藤浦「いや お話は頂いたけど まだ正式にはお返事してないの。」
ミワ「あ… そうなんですね。」
藤浦「もう一つ 同時期に撮影する 邦画作品のオファーと迷ってて。」
越乃「あっ それって 私も出るやつだよね?」
藤浦「そうです。」
越乃「ああ あれか…。 結構 大型の企画だから 藤浦さんも迷うよね。」
藤浦「私は 邦画のほうを選んでほしいと 思ってたんですけど…。」
越乃「でも はっちゃんは シラー監督のほうに出たかったんだ?」
藤浦「そうだと思います。」
一駒「なるほど。」
<八海サマが 邦画作品とシラー監督の作品との間で 迷っていた?>
池月「方向性の不一致。」
越乃「いや でも はっちゃんが 意見の違いで 引退だとか失踪だとか そんな子どもみたいなことするかな。」
藤浦「確かに…。」
越乃「きっと 別の理由ね。」