夜ドラ「ミワさんなりすます」(第28回)

控え室

(叫び声)

池月「ミワさん 何か聞こえない?」

ミワ「えっ? いや 何も。」

池月「今 叫び声が聞こえたような…。」

ミワ「えっ!? ちょっと やめて下さいっよ。 えっ…。」

池月「ごめん 怖いよね。 気のせいだった。」

ミワ「ああ…。」

廊下

(叫び声)

書庫

紀土「ミワちゃん…。(荒い息遣い)」

一駒「あなたは… ミワさんの何なの?」

紀土「え?」

一駒「恋人?」

紀土「いや あの… 元カレです。」

一駒「へえ~。 未練は?」

紀土「未練は… まあ はい あります。」

一駒「あるんだ。」

紀土「だから正直… 今回 八海さんがいなくなって ホッとしてる自分がいます。」

一駒「それは何で? 嫉妬?」

紀土「まあ… はい。」

一駒「Oh la la!」

紀土「でも結局 八海がいなくなっても ミワは八海のことで 頭いっぱいなんですよ。」

一駒「そうなんだ。」

紀土「あいつは 俺がいなくなったって どうせ気付かないです。」

一駒「悲しいわね。」

紀土「はい。」

一駒「それでも よりを戻したいの?」

紀土「ミワにとっても それが一番だと思ってますから。」

一駒「それは何で?」

紀土「お互いにとって それが現実的な生き方だと思うから。 夢なんか見てる時間は無駄ですよ。」

一駒「…なるほど。」

紀土「早く目を覚ましてほしいです。」

一駒「ご主人様とあなたの違いは…。 まあ いいか。」

紀土「えっ 何ですか?」

一駒「いや いいです いいです。」

紀土「いや 気になりますよ 言って下さい。」

一駒「ご主人様は ミワさんのこと よく見てる。 そして よく分かってる。」

紀土「俺だって そうですよ。」

一駒「いや… あなたは ミワさんのこと あんまり分かってないと思う。」

紀土「ええ~っ。」

一駒「ミワさんは かめばかむほど 味が出てくる人よ。」

ミワ『誰かいます?』

一駒「ミワさん!? 私です 一駒です!」

ミワ『一駒さん!? 今… 今 開けます!』

一駒「助かった! ありがとう!」

ミワ「あっ 紀土くん! ここにいたんだ。 もう どこ行ったんだろうっと持って 捜したよ。」

一駒「えっ 俺を? 何で?」

ミワ「だって 帰ろうと持ったら 玄関に紀土くんの靴があったから 『えっ まだ 中にいるの?』と思って。」

一駒「ほら あなたがいなくなったこと ちゃんと気付いてたじゃない。」

紀土「ミワちゃん…。」

一駒「さあ 帰りましょう!」

ミワ「ああ…。」

紀土「はい。」

ミワ「あっ! ちょっと これ 触った?」

紀土「あっ ごめん。」

ミワ「もう…。 大事なものなのに。 ん? えっ。」

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