書斎
ミワ「失礼します。」
<八海サマに会えた…>
ミワ「ここに置いておきますね。」
八海「ありがとうございます。 ん?」
ミワ「あ… いえ このハム ネットでは 塊を持って ナイフで切りながら食べられる っていうふうに言われていて あの…。」
八海「ネットのうわさというのは 本当に やっかいですね。 合ってればいいんですが 間違いも多い。 でも 私から いちいち訂正するのも バカらしい。」
ミワ「書かれっぱなし…。」
八海「そうなんです。 でも ここのハムが好きだというのは 本当です。」
ミワ「そうなんですか。」
八海「どうですか 一口。」
ミワ「え…。」
<これは… あ~ん!>
ミワ「いや そんな めっそうもございません。」
八海「一口だけ。 これまでのハムの概念が変わりますから。」
<いや 正直 ハムが問題なんじゃないんです!>
八海「ハムは お嫌いですか。」
ミワ「好きです。 大好きです。」
八海「じゃあ どうぞ。」
藤浦「失礼します。」
ミワ「じゃあ 後で頂きますね。」
八海「ぜひ 感想を聞かせてください。」
ミワ「…はい。」
藤浦「八海さん 明日のスケジュールの件ですが いいですか?」
八海「もちろん。」
ミワ「失礼します。 失礼いたしました。」
キッチン
<なりすまし… こんな卑劣で醜いウソが いつまで通用するというのだろう。 今 辞めれば 幸せな思い出だけで 終われるかもしれない>
<最初は 八海サマに会えたら十分だった。 でも それだけでは辞められなかった。 もっと会いたい。 もっと話したい。 もっと近くにいたい。 次々と現れる欲望が 私の僅かな理性を奪っていった>
控え室
<これ以上 何を望むというのか? もう終わりにしよう。 今 引き返さなければ 本当に手遅れになる>
ミワ宅
さくら「ミワさん。」
ミワ「え…。」
さくら「久保田ミワさん… ですよね?」
さくら「はじめまして 美羽さくらです。」
回想
ミワ「三毛猫ハウスサービス 美羽さくら…。」