さくら「これまでの経緯を教えて下さい。」
ミワ「はい。 ある時 偶然 ネットで 家政婦募集の記事を見つけたんです。」
ミワ「でも 私は その応募条件には満たなくて そこでやめておけばいいのに どんな家政婦さんがいるのか 見たくなって 気付いたら 家の近くにいました。」
回想
(衝突音)
ミワ「あの だ… 大丈夫ですか?」
ミワ『そこで 事故に遭ったあなたが 家政婦だということが分かって…。』
ミワ「えっ!? 三毛猫ハウスサービス。」
回想終了
ミワ「何度も引き返そうとしたのに 気付けば私は 美羽さくらさんに なりすましていました。」
さくら「なるほど。 警察に通報しようか迷ったんですけど その前に どうしても あなたに直接会って 聞いておきたいことがあって。」
ミワ「何でしょうか。」
さくら「どうして そんなリスクを冒してまで 私になりすまそうと思ったんですか?」
<それだけは…。 30前のいい大人が 推しが好きすぎて 家政婦になりすましたなんて 恥ずかしくて言いたくない。 けど 彼女はきっと 地道に努力して 世界的な俳優の家政婦に 選ばれるべくして選ばれた逸材。 私は そんな 彼女の努力の結晶を ひきょうな方法で横取りして…>
さくら「久保田さん? 久保田さん?」
ミワ「好きなんです。」
さくら「えっ?」
ミワ「雇い主が実は 俳優の八海 崇さんで その… 好きなんです。 子どもの頃から ずっと。」
さくら「え… 好きって…え? あなたは 俳優の八海 崇のファンってこと?」
ミワ「はい。」
さくら「一歩間違えたら 人生めちゃくちゃになるかもしれないのに そんな理由で?」
ミワ「どうしても あの方のそばにいたかった… それだけです。」
さくら「(笑い声)」
ミワ「え?」
さくら「(笑い声) マジ!? あ~ びっくりしちゃった。 まさか 私と同じこと考える人がいたなんて!」
ミワ「ええっ!?」
さくら「うわ~。 はっ… え~ 何これ ヤバッ! これ 全部集めたの!?」
ミワ「はい…。」
さくら「すっご・・・。 あっ… あ~!」
ミワ「えっ えっ えっ?」
さくら「『映画ランド』って もう廃刊だよね!?」
ミワ「あの もしよかったら お貸しするので 持っていって下さい。」
さくら「いいの? ヤッバ。 これは想像以上にヤバいわ。 ねえ ビールとかないの?」
ミワ「はい あります。」