野上「はいはいはい… 分かりました。 騒ぎは起こさないように。」
なつ「マダム!」
光子「なっちゃん…。」
なつ「あの マダム! 昨日 私のお兄ちゃんから 話は聞いたんですけど 本当ですか?」
光子「あっ うん まあ 多分…。」
なつ「えっ… マダムと うちのお兄ちゃんが 結婚なんて! そんなことって 本当にあるんですか?」
光子「あ… なっちゃん あの ここでは なんだから 奥に行きましょう… ね。」
なつ「ちょっと マダム…。」
応接室
なつ「マダム…。 それじゃ 本当なんですね?」
光子「そうよ。 本当に 私でいいのかしらって こっちが なっちゃんに聞きたいところよ。 私の方が咲ちゃんよりも ずっと年上だし もう40ですからね。」
なつ「マダムも 40歳ですか…。」
光子「そう しみじみ言われても困っちゃうけど…。」
なつ「そんなの関係ないじゃありませんか! 私にとっては 本当に夢のような話です!」
光子「本当? 喜んでくれるの?」
なつ「はい もちろんです! うれしいです… よかった…。 本当に よかった…。 あんな兄ですが どうか よろしくお願いします!」
光子「なっちゃん… こちらこそ よろしくね。」
なつ「はい! ハハハ…。」
野上「マダム 話題の人がお見えになりました。」
なつ「お兄ちゃん。」
咲太郎「なつが そろそろ ここに来てる頃かと思ってな。」
光子「なっちゃんから 今 許しをもらったところよ。」
咲太郎「そうか。」
光子「あっ 野上さん。 野上さんも よかったら しばらく ここにいて下さらない?」
野上「はい。」
なつ「それで 結婚式はいつ…?」
咲太郎「ああ そんなものはしないよ。」
なつ「えっ?」
光子「今更 そういうことはしなくてもいいの。」
野上「ちょっと待って下さい。」
咲太郎「まあ そもそも 結婚自体 野上さんに言われなければ しなくてもよかったんだから。」
光子「はあ? それ どういうこと?」
咲太郎「あっ…。」
野上「いえ 私は 何も…。」
光子「ああ… そういうこと? 野上さんに言われたから言いだしたわけ?」
咲太郎「いや それは まあ… きっかけというか たまたまだ。」
光子「何が たまたまよ! 野上さんも 余計なこと言ってくれたわね。」
野上「申し訳ございません。」
咲太郎「野上さん 悪くないよ。」
光子「当たり前よ。 悪いのは あなたでしょ。」
咲太郎「はい…。」