連続テレビ小説「なつぞら」第116話「なつよ、笑って母になれ」【第20週】

光子「まあ そういうことなのよ なっちゃん。」

野上「もはや 腐れ縁ですな。」

咲太郎「まあ… うん そういうことです。」

光子「それでね 野上さん 結婚したら 私 川村屋の経営からは 手を引こうと思ってるのよ。」

野上「えっ?」

光子「ちょうど ここを ビルに建て替える時だし 後のことは 野上さんに任せたいの。」

野上「マダム それは困ります!」

光子「野上さんに 責任を 押しつけようっていうんじゃないのよ。 もちろん 私も できるだけのことはします。 でも 野上さんには もうひとふんばり 次の後継者を育ててほしいのよ。」

野上「後継者を?」

光子「そう。 私が 先代のマダム そして 父から受け継いだ この店を 今度は 野上さんが 一つの会社組織として つないでいってほしいの。」

野上「マダム…。」

光子「もう血縁者だけが のれんを守る時代でもないわ。 野上さんの信念で これからも 川村屋を 大いに開拓してちょうだい。 咲ちゃんには 川村屋の財産は 何一つ渡しませんから。」

咲太郎「そんなもん こっちだって もらう気はねえよ。」

光子「野上さん これが私の結婚の決意です。」

野上「分かりました。 不肖 野上 この命尽きるまで この川村屋の未来を守ってみせます。 つないでみせます!」

光子「ありがとう。」

なつ「野上さん 頑張って。」

(笑い声)

咲太郎「よし。 すっきりしたところで 報告に行くか。」

なつ「どこに?」

咲太郎「決まってるだろ。」

おでん屋・風車

1階店舗

茂木「ママ 新しいお店のことなんだけど。」

亜矢美「うん…。」

茂木「花園じゃ嫌だよね?」

亜矢美「花園か…。」

茂木「今はさ ゴールデン街っていってるんだけど まあ いかがわしい所も残ってるけども 文化人なんかがさ 集まる店も増えて 友達の作家なんか よく使ってるんだよ。」

亜矢美「そっか そうだね 今の新宿で 安く借りられるとしたら そんなとこかもね。 いらっしゃい… 何だ お帰り。」

咲太郎「ただいま。」

なつ「こんばんは。」

茂木「よっ なっちゃん!」

亜矢美「なっちゃん ハハハ…。」

茂木「あれ マダムも。」

光子「こんばんは。」

咲太郎「ちょっといいか? 大事な話があるんだけど。」

亜矢美「大事な話? うん… もちろん いいよ どうぞ。」

光子「お邪魔します。」

亜矢美「あっ お店閉めるね。」

咲太郎「いや いいんだよ そこまでしなくたって。 どうせ 茂木社長しかいなんだし いずれ 茂木社長にも分かることだから。」

茂木「えっ 何?」

亜矢美「まずは お掛け お掛け お掛けに…。」

咲太郎「母ちゃん… 俺 今度 彼女と結婚することにしたんだ。」

茂木「ええっ!?」

光子「あっ すみません あの お恥ずかしいんですけど。」

茂木「いや うそでしょ マダム!」

なつ「茂木社長 お気持ちは分かりますけど 少しだけ 静かにしてて下さい。」

茂木「いや うそでしょ なっちゃん!」

なつ「シ~。」

茂木「えっ?」

咲太郎「今まで 隠しててごめん。 まあ そういうことなんだ。」

亜矢美「何だ… 知ってたよ そんなことなら。」

咲太郎「えっ?」

亜矢美「お前が 私に 隠し事なんかできるわけないだろ。」

咲太郎「知ってたのかよ?」

亜矢美「うん。 よかったじゃないの! おめでとう! なっちゃんが お嫁に行くまではって ずっと待ってたんでしょ。」

咲太郎「いや そんなことはないけど…。」

光子「あの 今度は 川村屋を ビルに建て替えることにしたんです。 それを機に 私は 経営からは 手を引こうと思ってまして それで これからは 咲太郎さんの会社を大きくするために 手伝うことにしたんです。」

咲太郎「そう。 まあ たまたま そういうタイミングに 結婚でもしようかってなっただけだから。」

亜矢美「たまたま… いいよ てれなくたって。 何にしたって おめでたいことじゃないの。 ね 乾杯しましょうよ。 さあ どうぞ。」

なつ「大丈夫ですか?」

亜矢美「あ~ これで 私も一安心。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「肩の荷が下りたわ。 はい 乾杯。」

光子「あっ すいません。」

亜矢美「はい かんぱい 乾杯 みんな グラス持って…。 ほら 社長!」

なつ「茂木社長。」

茂木「本当なの? ん~…。」

なつ「何それ。」

亜矢美「ほら 社長 しっかりして… いくよ。 はい 咲太郎 マダム あっ… 光子さん 結婚おめでとうございます!」

なつ「おめでとう。」

咲太郎「ありがとう。」

光子「ありがとうございます。」

亜矢美「かんぱ~い!」

咲太郎「乾杯!」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク