連続テレビ小説「なつぞら」第11話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

道中

天陽「貧しくて驚いたろ?」

なつ「そんなことないよ。 私なんて ずっと家がなかったんだから。」

天陽「そっか。」

なつ「頂きます! 冷たくておいしい!」

天陽「畑が うまくいかないから… ダメなんだ。」

なつ「えっ?」

天陽「ここは いくら耕しても 土が悪いと言われて父さんは もう 耕す気もなくなってしまったんだ。」

なつ「そうなの?」

天陽「それで 父さんは なんとか 郵便局の仕事を見つけて 母さんは 近くの畑を手伝って 食べ物をもらってくるんだ。 それも 今年の秋までのことかもしれない。」

なつ「えっ?」

天陽「ここを離れるんだ。」

なつ「東京に戻るの!?」

天陽「分からない。 だけど もう ここにはいられないよ。 作物が育たなければ 捨てるしかないよ。 こんな土地。 せめて あの馬が生きていたらな…。 俺の力じゃ どうすることもできない! 農家にとって 馬の力は欠かせないんだ。 悔しいけど…。 チクショー! チクショー!」

なつ「天陽君は 農家をやりたいの?」

天陽「そりゃ やりたいよ! 俺は ここで生きたいんだ! ここが好きなんだ! この土に勝ちたいよ! 勝ちたい…。 くそ~! くそ~! くそ~! あ~!」

柴田家

牛舎

悠吉「それは 拓北農兵隊だな。」

なつ「たくほくのうへいたい?」

剛男「何ですか? それ。」

悠吉「ああ 剛男さんは 戦争に行ってて知らんでしょう。 つまり 日本の政府が 空襲で 家をなくした東京の人に 北海道へ行って開拓しなさいよと 勧めたってわけです。 なっちゃんの同級生も そんで ここ 音問別(おといべつ)に来たんだべ。」

菊介「けど 今更来たって まともな土地は みんな 開拓されたあとで もう人が住んでるのさ。」

剛男「そうだろうねえ。」

菊介「結局 たくさんの人が もう東京に帰ったって話だけどね。」

悠吉「しかたないもな。 食うもんが作れないんじゃ。」

剛男「なっちゃん?」

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