なつ「できたら そうして。 お願い 母さん。」
富士子「分かった。」
なつ「ありがとう。」
坂場「あっ ごはんを作ります。 なつも まだ何も食べてないので。」
富士子「私も手伝うわ。」
坂場「ああ…。」
台所
富士子「まあ 台所 きれいに使ってるんだね。」
坂場「ああ… いえ。」
富士子「坂場さんが いつも ごはん作ってくれてるの?」
坂場「交代制でやってますけど 僕の方が忙しくないので。」
富士子「あっ そのノート。」
坂場「いつも お世話になってます。」
富士子「本当かい? 適当な料理で驚いたでしょ?」
坂場「はい。」
富士子「うん?」
坂場「あ いえ…。」
富士子「アッハハハハ…。」
リビング
剛男「坂場君は 今でも家で仕事してるのか?」
なつ「うん…。」
剛男「したら 子どもが生まれても なつが働きに出て 坂場君がここで 赤ん坊の世話をするってことかい?」
なつ「うん… しばらくは。」
剛男「しばらく?」
なつ「1年後には イッキュウさんも 仕事に出る予定なんだわ。」
剛男「したら 子ども どうすんだ?」
なつ「どこかに預けるしか…。 そういう保育園を探すしかないの。 1歳くらいになったら 預かってくれる所もあるって聞くから。」
剛男「1歳の赤ん坊をかい…。」
なつ「したけど… しかたないしょ そったらこと言ったって…。」
泰樹「それも 覚悟して結婚したんだべ。 今更 弱音吐いてる場合でねえ。」
なつ「うん… そうだね。 じいちゃん。」
泰樹「うん…。」
台所
坂場「ちょっと味を見て下さい。」
富士子「うん…。 あっ 私のより おいしいわ。」
坂場「いやいや… お義母さんの味を作りたいんですよ。」
富士子「なんも。 坂場さんの味になればいいしょや。」
坂場「はい…。」
リビング
なつ「う~ん 懐かしい…。」
富士子「イッキュウさんも食べてごらん。」
坂場「あ… はい。 うん… 豆腐というより あっさりしたチーズですね。」
剛男「それ 乳製品だからね 一応。 あっ そうだ! たんぽぽバターも持ってきたんだ!」
なつ「本当?」
富士子「えっ 早く出さなきゃダメでしょや。 すぐ冷蔵庫に入れないと。」
剛男「いや すまん。 牛乳豆腐で すっかり忘れてたわ。 ほら。」
なつ「わ~! ハハ…。 夕見子は今 農協じゃなくて こっちの工場に勤めてるんだよね?」
剛男「うん。 そこで 牛乳も 市場に出したいと思ってな 夕見子は今 一生懸 紙のパックの開発に乗り出してるさ。」
なつ「ああ 牛乳の紙パックか…。 本格的に たんぽぽ牛乳に向けて やってるんだね。」
剛男「うん。」
なつ「いつか こっちでも 買えるようになればいいのに。」
坂場「あっ しまってくる。」
なつ「ありがとう。」
富士子「したけど 夕見子も これからどうなるか…。」
なつ「どしたの?」
富士子「実はね… できたの 夕見子にも。」