雪月
雪次郎「開拓時代を調べてんのか。」
なつ「とよばあちゃんにも 話を聞きたいんだわ。」
坂場「大正11年ごろの洪水は 覚えていらっしゃいますか?」
とよ「ああ 大変だったね…。 したけど 私は そのころは もう嫁いでたからね。」
坂場「ほかに 何か 印象に残ってることはありますか?」
とよ「したら サケだわね。」
なつ「サケ?」
とよ「川に サケの群れが戻ってくると そりゃ もう銀色に光ってね! 水しぶきを上げて 川を遡ってくるサケの群れと 私らも 一緒になって 跳びはねて喜んだもんだわ! ああ サケが帰ってきた…!」
雪次郎「あっ いらっしゃ…。」
亜矢美「あっ いた! 元気?」
なつ「亜矢美さん!」
亜矢美「あ~! な な な… なっちゃんが 何で ここに!? な… なっちゃんだ! どうした!」
なつ「それは こっちが言いたいですよ!」
亜矢美「どうした どうした!」
なつ「どうしたんですか!」
とよ「亜矢美ちゃ~ん!」
亜矢美「あ~ とよばあちゃん! お会いしたかった!」
とよ「まだ生きてるもね! しぶといべさ。」
亜矢美「全然 お変わりないべさ。」
坂場「ご無沙汰してます。」
亜矢美「お~ イッキュウさんだ。 うわ~ 里帰り?」
坂場「いや~ まあ ちょっと違いますが。」
亜矢美「もしかして… えっ?」
なつ「はい。 私の娘です。 優といいます。」
亜矢美「ゆう? ゆうちゃん?」
優「はい。」
亜矢美「ミーは 亜矢美…。」
麻子「あの お久しぶりです。」
亜矢美「うわうわうわ… マコちゃんだ! イタリア行ってたんじゃないの?」
麻子「あっ 覚えてて下さったんですか。」
亜矢美「覚えてるよ それぐらい… あっ 神っち?」
神地「いや どうも…。」
亜矢美「全然 変わらないね。」
亜矢美「モモッチ?」
桃代「はい!」
亜矢美「ね~。 何っち?」
下山「あ… ハハ。 『ち』は付かないんですけど…。」
なつ「下山さん 会ったことないですか?」
亜矢美「あっ 下山っちといえば… うん! ね?」
下山「ああ そうです。」
亜矢美「よく聞いてた なっちゃんから。」
下山「これもんの ハハハ…。」
なつ「私が住んでた おでん屋の亜矢美さんです。」
下山「初めまして どうも。」
亜矢美「あ~ もう 座って 座って ごめんね 皆さん お邪魔しちゃって。 何 ご旅行? いや~ だって みんな…。」
夕見子「亜矢美さん!」
亜矢美「何 夕見ちゃん どうしたの。 ここで会えるなんて…。 お手伝い? エプロンして… 今 どっから出てきた?」