連続テレビ小説「なつぞら」第141話「なつよ、この十勝をアニメに」【第24週】

マコプロダクション

<十勝から戻った なつは 早速 主人公の少女 ソラの キャラクター作りに取り組みました。 キャラクターが決まらなければ 作画作業に入れません。>

なつ「出来た。 どう?」

坂場「うん…。 あ…。 ダメですね。 これは ソラではありません。」

なつ「どこがダメなの?」

坂場「ちょっと 皆さん いいですか? どう思いますか?」

麻子「なるほどね。」

下山「うん… 何か 強そうだね。」

なつ「強いのは 開拓で 自然と鍛えられたからです。」

坂場「だけど 人間らしい かわいさが 感じられないんです。」

なつ「かわいくなければ いけないの?」

坂場「かわいい女の子を 描けと言ってるわけじゃなくて…。」

神地「これは強そうなんだけど まるで 野生の動物を従えて 冒険をするような強さなんだよな…。 『百獣の王子サム』じゃないんだからさ。」

桃代「衣装も 何だか 葉っぱを着てるみたい。」

なつ「葉っぱ?」

陽平「うん… なっちゃん 背景は どうしたって緑が多くなるだろ? 十勝の自然 描くわけだから。 同色の緑っぽい服だと 保護色になって 目立たないんじゃないかな。」

神地「これじゃ戦闘服だよ。」

麻子「この発想だと 今までのテレビ漫画の キャラクター作りと 何も変わらないわね。 まあ 大自然を開拓するっていう意思は 感じるんだけど。」

坂場「今回は もっと日常的な 人間の表情を捉えたいんです。 大げさに 喜怒哀楽を表現したり 過剰なドラマ主義に走らなくても ちゃんと ドラマが見えてくるような 人間が生活する上での細かい心の動きを 一番大切に表現したいんです。 それを感じさせてくれる キャラクターでなければ…。 アニメーションらしい表現も 開拓者らしい人間の心の機微も 君なら よく分かってるはずだからね。」

なつ「うん…。 言いたいことは よく分かるけど…。」

坂場「うん…。 例えば このソラが 新しい世界に触れた時 自分の知らなかった世界が 今 目の前に広がっているのを見た時 その戸惑いや期待感 まっすぐに前を見て ワクワクしてるような目を描いて下さい。 そういう表情から ソラを捉えて下さい。」

なつ「ワクワクしているような目?」

坂場「そうです。」

麻子「あなたは 昔から 人の内面描くの得意だったじゃないの。 『白蛇姫』の頃から。」

なつ「戦いばかり描き過ぎて いつの間にか 自分の心が ギスギスしているんでしょうか。」

麻子「そんな重く考えないで…。」

下山「なっちゃん。」

なつ「はい。」

下山「あの… 参考になるかどうか 分かんないけど これ。」

下山「十勝に ロケハン行った時に スケッチしたものなんだ。 とっても いい表情 してたもんだからね。 まあ その表情は なっちゃんが 一番よく知ってるもんだろうけど。」

麻子「結局 あなたの心が 絵にも出るのよ。 あなたが ワクワクしなくちゃ ダメなんじゃない?」

なつ「そういうことか…。 忘れてました…。 こういう気持ちを テレビ漫画にも 描いていいんですよね…。」

麻子「そうよ。」

なつ「ありがとうございます。 下山さん。」

下山「何か見えた?」

なつ「はい… やってみます!」

下山「うん。」

麻子「よろしくね。」

なつ「はい。」

<なつよ どんなソラが生まれるのか  ワクワクしてきたぞ。>

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク