連続テレビ小説「なつぞら」第148話「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」【第25週】

リビング

なつ「散らかってるけど…。 座って。」

千遥「はい。」

なつ「最近じゃ ここも ほとんど 仕事場だけどね。 優には 本当に我慢させてるんだ。 生まれた時から 仕事ばかりしてて。」

千遥「私も同じ。」

なつ「そう… しかたないよね。」

なつ「何でも話して。 千遥のこと 何でも知りたい。」

千遥「私は 18の時に 神楽坂の杉乃屋という料亭に 嫁いだんです。」

なつ「料亭?」

千遥「政治家が使うような立派な料亭です。 私も よく 芸者の卵として お座敷に行っていました。 それで そこの次男に 結婚を申し込まれたんです。」

なつ「千遥は その人が好きだったの?」

千遥「明るくて 優しい人だなと思いました。 でも… 今は 一緒にいないんです。」

なつ「えっ?」

千遥「別に 女の人と暮らしがあるみたいで…。」

なつ「ずっと我慢してたの?」

千遥「あの店があったから…。 杉の子は 亡くなった親方が作った店なんです。」

なつ「親方?」

千遥「主人の父です。 父は 料亭で 料理人の親方をしている人でした。」

回想

春雄「箸で しっかり押さえて。 その店の味は ダシで決まるんだ。」

千遥「はい。」

春雄「千遥には料理人としての筋があるんだから 頑張んなさい。」

千遥「はい。」

回想終了

千遥「調理師免許も取らせてもらえて 店も任されて…。 結婚した私を 一番受け入れてくれたのは 義父(ちち)でした。 だから あの店は とても大事です。 主人と別れれば 私は あの店を続けられなくなる。 でも 結婚を続けるべきかどうか ずっと迷っていました。」

なつ「別れる決心がついたの?」

千遥「はい…。 千夏と2人で これから どうなるか分からないけど…。」

なつ「千遥が別れたいなら 別れていいと思う。 千遥は 何も悪くないでしょ。」

千遥「だけど お姉ちゃん…。」

なつ「うん?」

千遥「私は… 自分の過去を隠して結婚したのよ。 浮浪児だったことも きょうだいがいることも…。]

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