子供部屋
夕見子「『俳優の使命は 自分の技術を使って 戯曲を演劇的リアリティーに 転化させることである』。 へえ~。 それから…。」
なつ「あっ… ちょっと 何 勝手に読んでんのさ!」
夕見子「随分 その気になってんだ。」
なつ「違うって! それは 雪次郎君が 勝手に貸してくれたのさ。」
夕見子「何も隠すことないしょ。」
なつ「何も隠してないってば!」
明美「う~ん…。」
なつ「私が演劇をやるのは あくまで じいちゃんのためなんだから。」
夕見子「何さ それ つまんない。」
なつ「えっ?」
夕見子「あんたのそういうところ 本当つまんない。 やるなら 自分のためにやんなよ。 やりたいんでしょ? それとも 本当は やりたくないのかい?」
なつ「いや…。 今は やってみたいかも。」
夕見子「だったら それを認めて 自分のためにやんなよ。 じいちゃんのためとか言って ごまかしてないでさ。 それなら 私も応援する。 してやる。」
なつ「夕見?」
夕見子「ん。 頑張れよ。」
なつ「うん ありがとう。」
夕見子「フフフ…。」
<その晩 遅くまで なつは 絵を描いていました。 初めて 自分のために 演劇と向き合ったのです。>
なつ「あっ!」
<なつよ さあ 新しい日の始まりだ。>