牧場
富士子「雪次郎く~ん!」
雪次郎「あっ えっ…。」
富士子「野菜 持ってって。」
雪次郎「えっ ありがとうございます。」
富士子「少しだけど。」
雪次郎「うわ~ うわっ こんなに…。 それでは さようなら。」
富士子「気を付けて。」
なつ「ありがとう。」
雪次郎「はい。」
なつ「また明日。」
雪次郎「また明日。 それじゃあ。」
なつ「バイバイ。」
雪次郎「はいは~い バイバイ。」
富士子「だけど そんな深いとこまで考えて やってるとは思わんかったわ。」
なつ「倉田先生はね 農民こそ 演劇は必要だって言ってた。」
富士子「だから 農業高校で 演劇に力入れてるの?」
なつ「うん… だけど 私は 何か 農業高校らしいこともしたいんだわ。」
富士子「農業高校らしいこと?」
なつ「うん。 例えば… 演劇を見に来た人に 搾りたての牛乳を飲んでもらうとか!」
富士子「何で?」
なつ「十勝の酪農を もっとアピールしたいのさ。 演劇だけじゃなくて。 だって 母さんや みんなに こんなに親切にしてもらって やらしてもらってんだから 何かの役には立ちたいわ。」
十勝農業高校
演劇部
なつ『だけど 自分のことだけを 考えるわけにはいきません。 そもそも 私たちは その考え方が間違っていたんです』。
高木『何が間違っていたのだ ペチカよ』。
なつ『川下の村を 敵と見なすことです。 すぐに争うことです』。
高木『しかし それは 向こうとて同じことじゃ』。
門倉「ダメだ!」
高木「えっ?」
門倉「高木! お前 それでも村長か? 貫禄が足りねえんだよ。 もっと 根性を見せろや!」
雪次郎「おい なした?」
なつ「高木君 もう一回やりましょう。」
高木「はい…。」
なつ『そもそも その考え方が間違っていたんです』。
門倉『何が間違っていたのだ ペチカよ』。
なつ『川下の村を 敵と見なすことです。 すぐに争うことです』。
門倉『しかし それは 向こうとて同じことじゃ』。
なつ『だから…』。
良子「自分がやりたかっただけね。」
なつ『私にとって 村人は…』。
雪月
妙子「ありがとうございました。 いらっしゃい… あら 富士子さん お久しぶり。」
富士子「こんにちは。」
妙子「今日は 帯広に用事?」
富士子「ううん ちょっと 話したいことがあって。」
妙子「私に?」