連続テレビ小説「なつぞら」第3話「なつよ、ここが十勝だ」【第1週】

居間

泰樹「おい。」

なつ「あっ お兄ちゃん! えっ?」

照男「えっ? 何?」

剛男「ハハハ… 何だ 寝ぼけてただけだ。」

泰樹「寝るか食うか どっちかにしろや。」

なつ「はい… 頂きます。」

富士子「(泣き声)」

剛男「なしたの?」

富士子「だって かわいそうだべさ…。 この いい加減にしろ! この頑固ジジイ!」

泰樹「わしが何したんじゃ。」

剛男「富士子ちゃん 落ち着いて。」

なつ「ごめんなさい!」

剛男「なっちゃんはいいんだよ。」

夕見子「ごちそうさん!」

剛男「おい 夕見子!」

明美「(泣き声)」

剛男「どうなってんだ…。」

夫婦の部屋

(足音)

夕見子「もう やだ!」

剛男「なした?」

富士子「なしたの?」

夕見子「あの子 いびきうるさくて寝られない。」

子供部屋

なつ「(いびき)」

夫婦の部屋

富士子「疲れてるんだわ。」

剛男「夕見子 こっちで寝ろ。」

夕見子「やだ。 おじいちゃんとこで寝る。」

剛男「夕見子…。」

泰樹の部屋

泰樹「(いびき)」

牛舎

<その日は 日曜日でした。 牛には もちろん 日曜日などありません。」

泰樹「おい こっち来い。 やってみろ。」

なつ「えっ?」

泰樹「搾ってみろ。」

なつ「はい! お願いします!」

なつ「よろしくね。 蹴らないでね。」

(鳴き声)

なつ「大丈夫 大丈夫…。」

泰樹「牛から離れるな。 おっかなくても くっつく方が安全じゃ。」

なつ「はい。」

泰樹「まずは このあっためた布で 乳首を拭いてやる。 そして よくあっためるんだ。」

なつ「はい。」

泰樹「強く刺激してやらんと 乳は出ん。 でも 素早くやらんと 牛が嫌がる。」

なつ「はい。」

泰樹「よし もういいだろう。 搾れ。」

なつ「はい。」

泰樹「数を数えるおうに 上から指を折るようにして搾る。」

なつ「指を…。 あっ! そうか そうやるんだ。」

泰樹「おっ おっ おっ おっ…。」

なつ「あっ。」

剛男「すごい! やったな なっちゃん!」

悠吉「うまいもんだ。 もう調子が出てきたべさ。」

菊介「なっちゃんは 本当に 俺たちの仕事を よく見てたんだな。」

剛男「ハハハハハハ…。」

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