玄関
剛男「随分 上手になったな。」
照男「ダメだよ 俺なんか。 じいちゃんに頼りにされてないし。」
剛男「ああ… 父さんだって じいちゃんに頼られたこおとはないよ。 気にすんなよ。 照男 あの子のこと頼むな。 父さんは お前を頼りにしてるんだぞ。」
照男「いいよ そんなこと。」
剛男「そんなことって何だ。」
照男「俺は 父さん 偉いと思うよ。」
剛男「照男… ありがとう。」
子供部屋
剛男「夕見子 ちょっといいかな? おっ 勉強か 偉いな。 父さんも 働くより 勉強の方が好きだったな。 夕見子は 父さんに似たんだな。」
夕見子「働けってかい?」
剛男「いや… そうじゃないよ。」
夕見子「じゃ 何?」
剛男「うん…。 父さんが あの子を ここに連れてきた 理由を ちゃんと話そうと思ってな。」
富士子「あの子がいない!」
剛男「えっ?」
富士子「父さんが どっかに連れてったみたい。」
剛男「えっ どこへ?」
<なつは そのころ 荷馬車に乗っていました。 まるで どこかへ売られゆくように。 なつよ 一体 どこへ揺られてゆくよ。>