連続テレビ小説「なつぞら」第44話「なつよ、東京には気をつけろ」【第8週】

ホール

雪次郎「うん… うめえ!」

雪之助「このカリーはね 先代のマダム… 今のマダムの おばあさんにあたるマダムが その昔 インドの独立運動をしていた インド人革命家を助けたことから ここで作られるようになったんだわ。」

なつ「インド人の革命家?」

雪之助「そう。 その革命家は イギリス政府に追われて 日本に逃げてきたんだわ。 そこで マダムは その革命家を 川村屋にかくまった。 そのインド人が このカリーを伝えたんだわ。」

雪次郎「本場のカリーを伝えたのか…。」

雪之助「いわば これは 命懸けで守った マダムのカリーだ。 革命が生み出した 川村屋の味だ。 それが 今も こうして残ってる。」

なつ「すごい…。」

雪之助「名物となるものはね その店の… その人間の覚悟だ。」

なつ「その覚悟を 今のマダムも受け継いでるんですね。 だから あんなに強くて優しいんだ…。 そんなマダムに 私の兄は 借金をしたんです。」

雪之助「カリーじゃなくて 借りを作ったか。 ハハハハ…。」

雪次郎「それは 別に言わなくていいべさ。」

雪之助「あ~ すまん すまん すまん。」

なつ「あの おじさん 歌を聴きに行きませんか?」

雪之助「歌かい?」

なつ「去年の夏 母さんと聴いたんです。 兄と同じ ムーランルージュにいた人の歌で… お兄ちゃんのことを 何か 新しい情報 知ってるかもしれんから。」

クラブ・メランコリー

カスミ♬『赤い夕陽がガードを染めて ビルの向こうに沈んだら 街にゃネオンの花が咲く おいら貧しい靴みがき ああ 夜になっても帰れない』

レミ子『ねえ おじさん 磨かせておくれよ ほら まだこれっぽっちさ てんでしけてんだ え お父さん? 死んじゃった… お母さん 病気なんだ…』

(拍手)

カスミ♬『墨に汚れたポケットのぞきゃ…』

<なつは その歌を聴きながら 靴磨きをして 兄や妹と過ごした あのころを 懐かしく思い出していたようです。 でもな 東京は 街も人も すっかり変わったぞ。>

カスミ♬『つらいのさ』

<なつよ 気を付けろ。>

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