連続テレビ小説「なつぞら」第44話「なつよ、東京には気をつけろ」【第8週】

雪之助「あっ 失礼しました。 マダム これが せがれの雪次郎です。」

雪次郎「小畑雪次郎です! よろしくお願いします!」

光子「お父様のように 立派な菓子職人になれるよう しっかり ここで修業して下さい。」

雪次郎「はい!」

雪之助「いや~ マダム 私は まだ そんな立派な菓子職人じゃないですよ。」

野上「マダムの気遣いを 無にすることはございません。」

雪之助「失礼しました。」

光子「どうぞ お掛けになって。 それで 奥原なつさんは…。」

なつ「はい。」

光子「あなたは ここで働く気はあるの?」

なつ「それは… 本当に いいんでしょうか?」

光子「ほかに やりたいことがあるのよね? 漫画映画でしたっけ?」

なつ「はい。」

光子「その会社の試験は いつなの?」

なつ「6月に 臨時採用の試験があるそうです。」

光子「そう… それまでは どこかで 生活しなくちゃいけないでしょ? ただし そういう中途半端な人を お客様の前に 出すわけにはいかないので ちゅう房で 皿洗いでもしてもらいます。 それで よければ。」

なつ「いすぎるくらいです! ありがとうございます! 助かります。」

光子「まあ それにしても なつさんが 絵をね…。」

雪之助「川村屋には 昔から 絵描きのような芸術家が たくさん集まってきますもね。」

光子「ええ。 先代の祖母が好きでしたからね。 なつさんは どんな絵を描くのかしら。」

なつ「あっ 見ますか?」

光子「えっ? 是非 見たいわ。」

なつ「是非! マダムの目で確かめて下さい。」

光子「なるほど… 漫画ね これは。」

なつ「はい。 私がなりたいアニメーターは その絵に 命を吹き込むんです。」

光子「命?」

なつ「はい。 漫画は 紙の上で 物語を描きますが 漫画映画は 絵が物語を演じるんです。 アニメーターは 役者と同じように 物語を 絵で演じる人なんです。」

雪次郎「なっちゃん そんなら 演劇部の経験 生かせるね!」

なつ「そだといいけど…。」

雪次郎「そんなら 東京の演劇も たくさん見た方がいいよ。」

雪之助「お前は 修業に生かせ。」

雪次郎「どうやって?」

雪之助「どうやってもよ!」

なつ「マダムは どう思いますか?」

光子「えっ?」

なつ「私に できると思いますか?」

野上「マダムに聞いて どうすんです。」

なつ「そうですよね…。」

光子「不安を 誰かの言葉で 解消するのはよくないわ。 その不安と戦わないと。」

なつ「はい。」

光子「そういう人なら 私も応援します。」

なつ「ありがとうございます。」

雪之助「マダム あなたは 先代のマダムの意志を 立派に継がれたんですね。 いや… 安心しました。」

光子「なつさん こん新宿も ある意味 北海道と同じように 開拓者が集まる所なのよ。」

なつ「開拓者が?」

光子「ええ。 文化の開拓者…。 あなたのような 新しいことに挑戦したい という若い人たちが これから どんどん集まってくると思うわ。 この川村屋も そんな新宿でありたいと思ってる。 ここから あなたも頑張りなさい。」

なつ「はい!」

光子「ようこそ 開拓者の街へ。」

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