連続テレビ小説「なつぞら」第57話「なつよ、絵に命を与えよ」【第10週】

中庭

なつ「下山さん。」

下山「あっ なっちゃん。 今から ごはん?」

なつ「はい。 隣いいですか?」

下山「どうぞ どうぞ。」

なつ「ハハハ… すごい。 似てるし面白い。」

下山「誰でも描けるよ これぐらい。」

なつ「頂きます。 あの~…。」

下山「あっ。 何?」

なつ「下山さんから見て 大沢さんって怖いですか?」

下山「大沢って… ああ うちのマコちゃん?」

なつ「はい。」

下山「怖くないよ ちっとも。 熱心なだけで。」

なつ「熱心… ですか。」

下山「うん。 彼女は とにかく優秀だからね。 美大を出て うちに入社して すぐ仲さんと井戸さんに認められて セカンドに抜てきされたんだ。 その能力を知らない人からしたら 怖く見えるのかもしれないけどね。 ほら 彼女に いつも怒られてる 堀内君っているじゃない?」

下山「まあ 彼も 芸大で 油絵を描いていた 秀才なんだけど マコちゃんの言わんとしてることが 分かってないんだよね。 マコちゃんは アニメーションにとって 一番大事なものを 最初から 感覚として分かってる人なんだ。」

なつ「それは 何ですか?」

下山「命を吹き込むことだよ。 あのね アニメーションっていうのは ラテン語で 魂を意味する アニマっていう言葉から来てるんだ。 動かないものに 魂を与えて動かす つまり 命を与えるっていうことなんだ。」

なつ「アニメーションって言葉が そういう意味だったんですね。」

下山「どう動かせば どう見えるのか どう感じてもらえるのか…。 本気で命を吹き込もうと思えば 悩まないアニメーターなんていないよ。」

なつ「だから 怒りもするんですね…。」

仕上課

富子「マコちゃん お待たせ。」

麻子「トミさん 何ですか? この動画。」

富子「えっ? さあ 知らないわ。」

麻子「彩色の机よね…。」

富子「さっきまで ここにいた 奥原って新人の机よ。 変わった服装してる子。」

麻子「ああ そういうことか…。 勝手に拾ったのね。」

富子「マコちゃん…?」

中庭

<なつよ 何か見られてるぞ。 そんな おいしそうに パンを食べてていいのか? なつよ…。>

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