2階なつの部屋
回想
麻子「もういい。 ここ 私がやる。」
回想終了
なつ「う~ん… この絵に 何が足りないんだろう…。」
なつ<許仙(しゅうせん)を追って やって来た白娘(ぱいにゃん)は 塔に隠れ 許仙を呼び寄せる。 そして 許仙は 塔に向かう。 しかし またしても 法海(ほっかい)が立ちはだかる。 白娘と法海は 魔術を使って激しく戦う。 その果てに 白娘は負けてしまう。 力尽きた白娘は 自分の体が 半分 蛇に戻りかけていることを知る>
なつ「これは その時 許仙とは もう会えないと思って泣くシーンだ…。」
回想
麻子「これは 戦いに敗れた白娘が 白蛇に戻ることを知って 許仙を思って泣くシーンでしょ? それを思って動かしてよ!」
回想終了
なつ<人は どうして泣くんだろう…>
回想
なつ「バカヤロー…。」
回想終了
なつ<何かを失って悲しいから。 何かを守ろうと必死になるから。 誰かを大事に思って 胸が張り裂けそうになるから>
咲太郎「なつ。 飯も食わないで 何やってんだ? これ 母ちゃんが持ってけってさ。」
なつ「えっ もう11時…。」
なつ「あっ… ごめんなさい。 ありがとう! 頂きます。 う~ん おいしい。」
咲太郎「うん? 仕事か?」
なつ「仕事じゃないんだ まだ…。」
咲太郎「そうか…。 まあ 頑張れ。」
なつ「お兄ちゃんは?」
咲太郎「ん?」
なつ「ううん 何でもない。」
咲太郎「俺だって頑張ってるよ。 劇団の公演は 来年だから それまでは いろいろ働かないとな。 マダムへの借金は 残念ながら 劇団の仕事だけじゃ返せないんだ。」
なつ「頑張ってるね。」
咲太郎「そんじゃ 母ちゃんの片づけでも 手伝ってくるか。」
なつ「あっ 私も」
咲太郎「いいから! お前は ほどほどにして 早く寝ろよ。」
なつ「ありがとう。」
咲太郎「おやすみ。」
なつ「おやすみなさい。」
翌朝
亜矢美「はい こっちかな こっちかな?」
なつ「派手です。 おしゃれすぎます。 ダメです!」
亜矢美「どうして?」
なつ「おしゃれは… 誤解されますから。」
亜矢美「誤解? どんな?」
なつ「男の人の目を意識してるとか…。」
亜矢美「で 認めるの?」
なつ「えっ 認めません!」
亜矢美「じゃ どうすんの?」
なつ「いっちゃって下さい!」