砂良「何でバターを?」
菊介「うちの照男君が作ったんだわ。 あんたに食べさせたくて。 あれ 天陽君でねえの。 何で おめえが ここにいんだ?」
天陽「何でって…。」
菊介「おめえ まさか 砂良さんのことが好きなんでねえべな?」
砂良「ちょっと 何言ってんの? 菊介さん。」
菊介「砂良さんは うちの照男君が 先に好きなったんだからな。 おめえも それ分かってるべ?」
天陽「分かりません。」
菊介「分かんねえか? はあ~ 分かんねえから 牛乳持ってきたのか? 牛乳は 真っ白でも おめえの腹 真っ黒だ。 なっちゃんがいなくなったら 砂良ちゃんか? 大したもんだな。」
天陽「なっちゃんは関係ないしょ!」
菊介「それに比べて 照男の腹は真っ白だ! 真っ白い心で 砂良さんのことを いつも思ってる。 その気持ちには 一点の曇りもない。 十勝晴れだわ。 照男は いつも 心に砂良ちゃんを 強く思ってんのさ!」
天陽「砂良さんには 何も伝わってねえべ!」
菊介「そうなんかい? 砂良ちゃん。」
砂良「いえ…。」
菊介「照男の気持ちは分かってるべ? 砂良ちゃん。」
砂良「そんなこと言われても…。」
天陽「砂良さんは そんなバカな男を 相手にするもんか!」
菊介「バカは バカなりに考えたんだ!」
(戸をたたく音)
砂良「ちょ… ちょっと待って! 待ってって…。 何なの? 今日は。」
(悲鳴)
菊介「熊だ~!」
照男「ちょっと待った! 俺です! 俺!」
砂良「照男さん!」
照男「すいません!」
天陽「すいません。」
菊介「すいません。」
弥市郎「どういうつもりだ? お前ら。」
照男「砂良ちゃん…。 好きです。 結婚して下さい!」
天陽「お願いします!」
菊介「お願いします!」
照男「牛飼いの家に… 酪農家の嫁に来て下さい。 食べることだけは 一生困らせない。 おいしい人生を約束します! どうか 俺と一緒に生きて下さい!」
弥市郎「どうする? 撃つか?」
砂良「撃たなくていい。 撃つ時は 自分で撃つから。 嫁入り道具には それ頂戴。」
弥市郎「分かった。」
砂良「本当に ここまでバカだと思わなかったわ。 ハハ…。」
菊介「ハハハハ… やったな!」
天陽<砂良さんは バカな芝居に つきあってくれたのかな? 照男さんの思いを しっかりと受け取ってくれました>
照男「ラブレター熊ですよ。」
弥市郎「あ?」
菊介「いや よく 訳 分かんねえこと言うんだ こいつ。」
(笑い声)
なつ<天陽君 元気ですか? 照男兄ちゃんと砂良さんのこと 心から うれしいです。 バカなことを考えた 菊介さんと天陽君にも 心から ありがとうと言いたいです>