川村屋
桃代「えっ ここ? 川村屋でしょ?」
なつ「そう。」
桃代「なっちゃんが むしゃくしゃしてるから 遊びに つきあってあげようとしたのに 川村屋?」
なつ「いいじゃん。 ここで モモッチと バターカリー食べたかったの。 行こう。」
(ドアが開く音)
野上「いらっしゃいませ。」
なつ「こんばんは。」
野上「何だ。」
なつ「何だって… お客ですけど 一応。 今日は 友達も一緒です。」
野上「さようでございましたか。 また派手な恰好して。 目がチカチカします。」
なつ「あっ!」
佐知子「なっちゃん いらっしゃい!」
なつ「佐知子さん こんばんは。 2人です。 会社の友達の桃代さんと。」
佐知子「こんばんは。」
桃代「こんばんは。」
野上「お席に ご案内して。」
佐知子「はい。 どうぞ こちらへ。」
野上「あっ! なっちゃん あれ… あれじゃない?」
なつ「あっ あれ…。」
佐知子「どうしたの?」
なつ「佐知子さん あの人 よく来るんですか? あの人。」
佐知子「さあ… 知り合い?」
なつ「いや… おんなじ会社の人です。」
佐知子「じゃ 同じ席にする?」
なつ「いえ いえ いえ いえ…。」
桃代「そうしましょうよ。」
なつ「は? えっ ちょっと!」
桃代「こんばんは。」
なつ「こんばんは。」
坂場「ああ どうも。」
佐知子「こちらのお客様も ご一緒でいいですか?」
なつ「あっ… いえ…。」
桃代「いいですか?」
坂場「どうぞ。」
桃代「どうも。 私は 仕上課にいる森田桃代です。」
なつ「モモッチ…。 すいません 失礼します。」
佐知子「ご注文は?」
なつ「バターカリー2つ。」
佐知子「かしこまりました。」
桃代「なっちゃんが あなたに 何か聞きたいことがあるそうです。」
なつ「えっ…。」
桃代「モヤモヤしてること 聞いちゃいなさいよ この際。」
坂場「何ですか?」
なつ「あっ いや 別に…。 どうして ここにいるんですか?」
坂場「どうして? 新宿に 本を買いに来たからです。」
桃代「わあ こんなに…。」
坂場「すぐに読みたくて この店に入りました。」
なつ「あっ… ここ 前に 私が働いてたお店なんです。」
坂場「そうですか。 それで?」
なつ「それで?」
坂場「僕が ここにいつことと あなたが この店で働いてたことは 単なる偶然じゃないんですか?」
なつ「偶然だと思います…。」