社員寮
なつ「雪次郎君…。 雪次郎君!」
雪次郎「なっちゃん どしたの?」
なつ「どしたのじゃないっしょ! 今 話聞いたわ。」
雪次郎「咲太郎さんからか。」
なつ「えっ…。 ちょっと… お邪魔します。 えっ… ねえ ちょっと どういうこと? お兄ちゃんのせいなの?」
雪次郎「違う! 咲太郎さんに言われたわけでねえ。」
なつ「じゃ どして!? 本当に劇団に入って 役者になんの?」
雪次郎「劇団に受かればね。」
なつ「えっ… まだ受かってないの?」
雪次郎「今日受けたから 結果は まだ出てねえ。」
なつ「えっ ちょっと… 待って…。 受かってもないのに 何で ここを辞めるなんて言ったの?」
雪次郎「なっちゃんだって同じだべ。」
なつ「何が?」
雪次郎「受かる前に 酪農をやめたんでねえか。」
なつ「だって それは…。」
雪次郎「決心するって そういうことだ。 俺は決心したんだ。」
なつ「帯広のおじさんと おばさん とよばあちゃんには 何て言ったの?」
雪次郎「それは まだ これからだ。」
なつ「なして! ねえ そこが一番大事だべさ! ここ辞める前に言うべきでしょや!」
雪次郎「そこは なっちゃんとは違うんだわ。」
なつ「何が違うの?」
雪次郎「なっちゃんには きょうだいがいたべさ。 俺の場合は なっちゃん… 本当に裏切ることになってしまうんだわ。 したけど 親の期待を裏切っても 俺は…。」
なつ「ダメ! それは 絶対ダメ!」
雪次郎「えっ?」
なつ「行こう!」
雪次郎「嫌だ!」
なつ「いいから お願い!」
おでん屋・風車
1階店舗
なつ「早く行くよ。」
雪次郎「ん…。」
なつ「ただいま。」
亜矢美「あ お帰り。」
カスミ「お帰り。」
なつ「お兄ちゃん ちょっと話があるんだけど…。」
咲太郎「何だ?」
なつ「入って。」
咲太郎「お~ 雪次郎! 今日はご苦労さん。」
雪次郎「どうも。」
なつ「お兄ちゃん…。」
亜矢美「雪次郎君 あんた 思い切ったことしたね。」
カスミ「よく決心した。」
レミ子「あんたには負けないからね。」
なつ「ちょっと待って! 雪次郎君を 役者にはできません。」
咲太郎「なつ… どうして?」
なつ「どうしても!」
<ああ なつよ 君の悩みは尽きないけれど 今の私に言えることは… 来週に続けよ。>