連続テレビ小説「なつぞら」第7話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

居間

剛男「なっちゃんのかばんがない! ほら あの… 東京から持ってきたやつ!」

富士子「だから どういうこと? 」

剛男「だから 知らないよ!」

泰樹「おい いないのか?」

剛男「だから いない…。 何か あったんでしょうか?」

泰樹「知らん。」

富士子「別に 何もなかったわよ。 昨日だって 普通にね…。 あっ! 夕見子が 何か 昨日 変なこと言ってた。」

剛男「変なこと?」

富士子「ほら 明美に あの子が何かしたって。 本当かい?」

夕見子「本当だよ。」

剛男「何してたんだ?」

夕見子「だから 明美を泣かしてたのよ。」

剛男「泣かしてた? 何かの間違いだろ。 明美 なつお姉ちゃんに 何か されたのか?」

明美「(泣き声)」

剛男「ほら 明美は 何でもないのに すぐ泣くじゃないか。」

夕見子「あの子 分かんない! 学校でも 何言われたって怒んないし 何考えてんのか さっぱり分かんない!」

泰樹「東京か。」

剛男「えっ?」

泰樹「東京に行ったのかもしれん。」

富士子「東京に 一人で?」

剛男「まさか…。」

帯広

語り<なつは なんと 帯広に着きました。 だけど 一文無しです。 食べるものも 東京へ行く切符を買うお金もありません。 なつは それを稼ぐつもりでした。>

なつ<この時 私は あの浮浪児であふれた上野の街を 思い出していました>

回想

東京・上野

「運べ。」

咲太郎「おい なつ 千遥 出かけるぞ。」

なつ「お兄ちゃん!」

千遥「お兄ちゃん!」

咲太郎「行こうか。」

上野自由市場

「うわっ 米兵さんだ!」

「ギブ ミー チョコレート!」

なつ「チョコ チョコ チョコ チョコ…!」

「「チョコレート トゥ ユー。 オーケー。」

「サンキュー。」

咲太郎♬『俺は村中で一番 モボだと言われた男 うぬぼれのぼせて得意顔 東京は銀座へと来た そもそもそのときのスタイル』

「オ~! ジャパニーズ チャップリン! エノケン!」

咲太郎♬『青シャツに真っ赤なネクタイ 山高シャッポにロイド眼鏡 ダブダブなセーラーのズボン』

「いいぞ いいぞ!」

なつ<兄の咲太郎は 時々 こうやって アメリカ人と仲よくなって すてきなものを たくさん買い込んできました。 それを 闇市の店に売って お金を増やすのです>

咲太郎「こうやって 金をためていけば いつか また 父ちゃんと母ちゃんの店が 建てられるぞ なつ。」

なつ「本当?」

咲太郎「ああ。 きっと 兄ちゃんが建ててみせる。 また そこで 千遥と なつと 3人で暮らそう。 兄ちゃんが 必ず 父ちゃんの店を継ぐから。」

なつ「うん…。」

咲太郎「あっ ハハ… 信も一緒に暮らそうな。」

信哉「いいよ 僕は。 家族じゃないし。」

なつ「ダメよ! 信さんも一緒じゃないと。」

千遥「一緒がいい!」

信哉「ありがとう。」

咲太郎「お前は もう 俺たちの家族だろ。 水くさいこと言うなよ。」

信哉「ハハッ 何だよ 最初は忘れてたくせに。」

咲太郎「ごめんって…。」

(魚が跳ねる音)

咲太郎「おっ 来た!」

なつ「お~!」

咲太郎「お~!」

信哉「すげえ!」

咲太郎「鯉だ! 鯉!」

なつ「鯉 久しぶりだね! お~… ハハッ…。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク