富士子「男親は 娘の気持ちより 相手の男を 抹殺することしか考えないでしょや。」
剛男「抹殺って 忍者でないんだから。」
泰樹「抹殺… 確かに そうじゃ。」
富士子「だから黙ってたのさ。」
剛男「全く… どんなやつ そいつは!」
富士子「高山昭治。 札幌にある老舗デパートの長男。」
剛男「調べたのかい?」
富士子「そりゃ調べるしょ。 2人とも 大学には 休学届を出してるみたい。」
泰樹「結婚する気はあるのか?」
富士子「そら 調べようがないからね。 でも なつの話では… 今はないと思う。 亜矢美さんは だいぶ落ち着いてきたから 会いに来るなら 今がチャンスかもしれないって。」
剛男「後悔してるんだわ… 許せんな そいつは。」
富士子「どっちが言いだしたことか 分かんないんだよ。」
剛男「そいつが悪いに決まってる! 男が悪いに決まってるべ!」
富士子「夕見子が聞いたら また それは 固定観念だ何だって…。」
剛男「いや とにかく悪い! 男が悪い!」
富士子「はいはい…。 このぐらい いつものあんたで なくなるんだから。」
泰樹「お前が行くのか?」
富士子「私が行ってもいいけど 親が行ったら せっかく冷静になろうとしてる時に また冷静でなくなる気がして…。」
剛男「何言ってんだ。 夕見子が何と言おうと 親が連れ戻さなきゃダメだ!」
富士子「それで 余計傷つくのは夕見子だよ! ここは… 昔 なつが言ってた 慣れてない人がいいって。」
剛男「慣れてない人?」
富士子「じいちゃんに 優しくされたら つい 夕見子も 素直な気持ちが出せるんじゃないかって。 甘えさせてやってや 夕見子を。」
泰樹「いや… 無理じゃ!」
<それから 数日後のことでした。>
おでん屋・風車
1階店舗
なつ「夕見… どしたの?」
夕見子「なつ… あんた うちの家族にしゃべったしょ。」
なつ「えっ…。」
夕見子「裏切ったしょ!」
<なつよ どうする?>