魚屋
(自転車のベル)
留蔵『フミちゃん おはよう!」
布美枝「おはようさん! その お魚 安来の港で買ってきたかね?」
留蔵「そげだ。」
布美枝「輝子叔母ちゃんに会った? 元気だったかね?」
留蔵「濱乃屋のおかみさんか? 今朝は会わんだったな。 3日ばかし前は『体が えらい』 言ってらっしゃったけど。」
布美枝「叔母ちゃん 病気?」
留蔵「夏風邪かもしれんな。」
克江「あんた 早こと 魚 並べて。」
留蔵「おっ!」
布美枝「叔母ちゃん…。」
(回想)
宇野輝子「はい フミちゃんに! これ なめると 元気が出るけんね。」
<輝子叔母さんというのは 母の妹で 安来港の魚問屋に嫁いでいます。 内気な布美枝を 誰よりも かわいがってくれる 叔母さんの事が 布美枝は 大好きでした>
(回想終了)
布美枝「叔母ちゃん 大丈夫かな? なあ なあ 安来は どっち?」
留蔵「ここを まっすぐだが。」
布美枝「ずっと まっすぐ?」
留蔵「そげだ! 出雲富士を右に見てな。 だども 1里半もあるげな。 自転車で行くのも 遠くて 骨が折れ~わ! ハハハ! あれ? フミちゃん?」