清流企画の調理室
ゆとりのサポートに白坂がつくということでラーメン作りの相談をしている。
白坂曰くリーズナブルでボリューム満点さえクリアしていれば、あとは自由とのこと
今回は前回のコンペみたいに尖りすぎないようにと忠告する白坂
白坂「商売は儲けてなんぼ変なこだわりを持つより客ウケが1番だと思ってるからねー。せっかくだから1軒くらいが実際に食べに行こうか?」
白坂に連れられてラーメン屋に行くゆとり
白坂「俺が清流企画に入社して初めて担当した店だけど、多分良い参考になるから」
ゆとり「ここですか?油そば専門店きよた。」
ゆとり「並盛、中盛、大盛値段は一緒。お好みでマヨネーズ、ケチャップ、ポン酢味、ニンニク!相当濃ゆそう!」
白坂「おかしいな・・・ちょっと待って!」
店内に入る白坂とゆとり
白坂「すいません、この店前は油そば専門店牧原って名前だったと思うんですけど?」
店長「ああ確か1年前はそうでしたね。内が買い取ってから、代えさせていただきましたけど」
白坂「買い取った!?牧原さん、前の店長だった人からですか?この人なんですけど?」
店長「いや、いきなりそんなこと聞かれても、お宅どちらさん?」
白坂「フードコンサルタントです。前にこの店をコンサルティング、担当したんで」
店長「じゃあ味惑コーポレーションの方?」
白坂「は?」
清流企画
白坂「どういうことですか?俺が担当して牧原さんの店が人手に渡ってたんです。それも味惑コーポレーションが権利を買い取ったって。社長、このことご存じだったんですか?」
芹沢「さあ?河上さん、知ってる?」
河上「牧原さんというと、あの油そばのお店ですね。そうですか人手に渡ってたんですか」
白坂「いや、これって問題じゃないですか、内がコンサルを担当した店を別のコンサル会社に売却するなんて?」
芹沢「問題ないわよ、自分の店をどうするかなんて、その店の持ち主が好きに決めることでしょ」
河上「もう終わった案件ですよ白坂君」
依頼人は白坂の大学時代の先輩だったとのこと、そしてゆとりが動く。
ゆとり「おそらく、その牧原さんは殺されてますね!」
夏川「何言ってるの?」
ゆとり「状況的にそう考えるのが自然です。きっと味惑コーポレーションが前に店主を亡き者にしてお店の権利を奪ったんです!間違いありません!」
須田「もっと詳しく聞かせて!」
ゆとり「とにかく、このまま放置はできませんよ!私、味惑コーポレーションに言って話しをつけてきます」
須田「ちょっ、どういうことですかー!!」
芹沢「白坂、あなたもついていきなさい」
味惑コーポレーション
ゆとり「犯人はあなたですね。難波倫子さん?」
難波「人の会社に来て早々何藪から棒にわけわからんことほざいとんねん?このボケ!」
ゆとり「痛い痛い!折れます折れます」
難波「あんたら豊島区にある油そば専門店のことで来たんやろ?さっきお宅の部長さんから電話あって聞いたわ。ドアホが2人そっちに行くから適当にあしらって帰してくれって」
とりあえず帰りそうもないので話しを聞くことにした難波
白坂「牧原さんは当時あの場所で麺工房まきはらって店をやってた。職人気質で芹沢社長に憧れてて、その店でも月替わりで新作の創作ラーメンを出してたんだ」
白坂「でも、すぐ目の前にボリューム自慢のつけ麺屋がオープンして牧原さんの店の客足は途絶えた」
白坂「俺も協力して対抗するための新メニューを作ったけど、なかなか上手くいかなかった。牧原さんの食へのこだわりが強すぎるのが一番の理由だったけど」
白坂「そんな時に決定的な出来事が起きたんだ。牧原さんはバイトのアキちゃんのことがずっと好きだったんだ。なのに彼女は店を辞めて」
白坂「しかもよりによってライバルのぶっとい軒でバイトを始めて、しかもそこの店長と付き合い始めて」
難波「急に話しがあらぬ方向に飛んだな?」
白坂「とにかく、牧原さんはそこで吹っ切れたんだ」
牧原「こだわりなんか捨てるから相手の店に勝ちたいんだ!」
白坂「油そば専門店にすることを提案してくれたのは芹沢社長だった」
白坂「油そばはスープを作る必要がないし調理の手間も簡単、原価率も人件費も抑えられる上にお客が食べるスピードも速いから回転率も良いメニューだって」
難波は話しを聞いて商売敵に親切する義理はない、人探ししてる暇あったら必死こいて研究しろと言って立ち去るのだった
清流企画の調理室
ゆとり「やっぱりイメージがわかないんですよね。他のお店のボリューム系ラーメンを真似しても仕方ないですし・・・白坂さん、聞いてますか?」
白坂「聞いてるよ。それこそ社長に相談に乗ってもらったらいいんじゃない?」
ゆとり「それは最終手段です。ギリギリまで自分で考えないと」
そこに夏川と須田が来る
夏川「どう?コンペのメニューの進み具合は?」
ゆとり「もう、さっぱりです白坂さんは例の件で元気ないですし」
白坂「元気だよ」
ゆとり「元気ないよ」
夏川「白坂さ、あんた、牧原さんに会って話し聞いてきたら?」
白坂「え?」
夏川「なんとなくだけど社長も部長も何も言わないのって、あんたに何か気づかせようとしてるっぽいからさ」
白坂「とは言っても、連絡先も居場所もわからないですし」
須田「ほらこれ!」
白坂「麺屋まっきぃ?これって?」
須田「その牧原さんがやってる店。前の店を売ったからってラーメンから足を洗ってたとは思えなかったかし、ラオタ仲間の情報網で探してもらったんだ。間違いないと思うよ」
ゆとり「須田さん、凄い!」
須田「後輩が悩んでるんだから、これくらいはね」
白坂「須田さん、俺、今まで誤解してました。須田さんのこと、ラオタで地味で根暗でぶっちゃけ苦手な先輩だなって思ってたんですけど、バカにしてたんですけどスイマセン、ありがとうございます」
須田「いや、メモ返せ!」
麺屋まっきぃ
白坂「牧原さん」
牧原「白坂」
牧原「悪かったな、お前に一言もないままあの店を売っちまって」
白坂「それより、どうして?」
牧原「ある日店閉めた後にさ」