結果発表
蒲生「審査員の8名にはどちらのラーメンが良かったか理由も書いて投票してもらいました。開票する前に少しお時間を頂きたい。難波さん」
難波「はい」
蒲生「あなたは清流企画のラーメンはボリューム系ラーメンとしての肝をつかんでいないと仰いましたが、その意味をご説明願えますか?」
難波「わが社の唐揚げラーメンですが清流企画さんのオコゲ・ラーメンに比べて味が単調だったと思われませんか?」
蒲生「まあ確かにオコゲ・ラーメンは食感や味の変化を楽しめましたが」
難波「内はあえて、生姜やニンニクを軸に味付けはシンプルに仕上げました。その理由はボリューム系ラーメンはだからこそ良いと判断したからです」
白坂「つまりこういうことです?楽麺房・池袋店のメイン客層である若い男性客にはそういう単調な味の方がウケやすい」
難波「そうそうそういうこと、ようするに若い男っちゅうのはニンニク味とか生姜味とか単純な味にしか反応出来ん舌バカが多いちゅうことや」
福花「おい難波、蒲生社長の前でそのキャラ止めろ」
難波「失礼しました」
蒲生「確かにその傾向はあるのかも知れませんね。若者はボリューム第1、味もシンプルなものを好む」
有栖「実際に好まれるのはハンバーグ、カレー、焼肉に牛丼などでしょうし」
難波「そうです。オコゲ・ラーメンのように高度で複雑な味わいは理解されない可能性が高い、だからボリューム系ラーメンをわかってないと申し上げたんです」
蒲生「なるほど、芹沢社長はこの意見になにか反論は?」
芹沢「彼女の言葉は間違ってません。ただわかってないのはどちらなのかは結果を見てから」
有栖「仰る通りです。開票します」
有栖「3対5勝負がつきました」
難波「結果は?」
蒲生「難波さん・・・残念ながらあなたの予想は外れたようですオコゲ・ラーメンに5票。8名の審査員の内5名が清流企画さんのラーメンが美味しいと判断しました」
有栖「ボリューム系ラーメンの欠点はその量の多さから食べている途中で味に飽きてしまうオコゲ・ラーメンはその欠点を見事に克服していたと」
福花「完敗だな難波」
芹沢が難波に優秀なコンサルタントだと思っていることと忠告を伝える
難波「ご忠告感謝します」
清流企画
ゆとり「部長、この間牧原さんに聞いたんですけど・・・」
河上「何か?」
ゆとり「やっぱりいいです」
外から雷が聞こえる
河上「今日は夕方から大雨らしいですよ。せっかく社長が店に出てるのに客足に影響が出なければいいですけど」
らあめん清流房
ゆとり「お疲れ様です」
芹沢「お疲れ、雨だから気を付けて帰りなさい」
ゆとり「いえ、帰りにラーメンを食べて行こうかと思って、いつもは混んでますし、考えてみたら私看板メニューを食べたことなかったんです」
芹沢「社員割引はないわよ」
ゆとり「はい、濃口醤油ラーメンをお願いします」
芹沢「はいどうぞ」
ゆとり「いただきます」
ゆとり「おいしい。あゆの煮干しの風味とヘッドのこってりがマッチしていて凄い完成度です」
芹沢「ワクワクする?」
ゆとり「え?それは・・・」
芹沢「正直ね。じゃあこっちも食べてみなさい」
芹沢「淡口醤油らあめんよ。こっちは奢ってあげるわ」
ゆとり「いただきます」
ゆとり「これ凄い。社長この味」
芹沢「そうよ、その淡口醤油らあめんこそ、私が自分の職人魂をかけて生み出した作品だもん」