賢秀「俺は あの時 ホッとした。 暢子が 自分から行きたいと 言ってくれて 内心 ホッとしたわけ。 本当は 暢子も行きたくないと 分かっていたのに…。」
回想
賢秀「ありえん。 やっぱり ありえん!」
歌子 良子「ニーニー!」
賢秀「暢子!」
回想終了
賢秀「俺は その時決めた。 これからは 何があっても 大切な人を見放すことは 絶対にしない!」
清恵「何で 私?」
賢秀「大切だのに。」
清恵「何で?」
賢秀「デージ大切な人だのに。」
清恵「だから 何で?」
賢秀「好きだから。 大好きで ずっと一緒にいたいから。」
清恵「私は…。」
賢秀「関係ない!」
清恵「家出して ろくでもない男と結婚して しかも…。」
賢秀「関係ない!」
清恵「言ったじゃん! ウソつきの最低女だって!」
賢秀「それは 俺が間違ってた。 謝る。 ごめん!」
清恵「間違ってないよ! 私は ウソつきで 最低なんだよ!」
賢秀「俺だって負けてない。 万引きして ケンカして 家族に迷惑かけて 怪しい話に乗って すぐだまされて みんなに ウソついて。 だけど お前が教えてくれた。 人間は やり直せる。 何度でも やり直せるわけ。 俺は お前とやり直したいわけよ!」
清恵「本当にいいの? 私で…。」
賢秀「お前でないと 駄目なわけよ! とう! 黙って 俺の胸に飛び込んでこい! 飛び込んでこい! 早く!」
客「リリィちゃん 次だよ。『グッド・バイ・マイ・ラブ』。歌ってくれる約束だよね『グッド・バイ・マイ・ラブ』。」
賢秀「歌わんよ!」
客「誰 誰?」
賢秀「『グッド・バイ』は 歌わんてば。」
客「え… 知り合い?」
ママ「リリィちゃん。 お取込み中?」
清恵「すいません すぐ。」
ママ「ごめんね。 行こう 行こう 行こう。 うん 大丈夫 大丈夫 大丈夫…。」
(雷鳴)
賢秀「歌うわけ?『グッド・バイ』を歌うわけ?『グッド・バイ』歌うのか?」
賢秀「分かった。 俺は 千葉に帰る。 親父さんと2人で コツコツ 豚育てる。 それでいいんだよな? 今 一緒に帰るって言わないと 二度と 猪野養豚の敷居は またがさない。 それでいいわけだな?」
清恵「うん…。」
賢秀「勝手にせー!」