暢子「そうか そういうことだったのか。」
二ツ橋「(せきこみ)」
暢子「あっ 大丈夫ですか?」
二ツ橋「大丈夫。」
沖縄料理店・あまゆ
順次「なるほどね。 ついに 暢子ちゃんも そんな話を 聞いてしまったか。」
暢子「順次さん 知ってたんですか?」
順次「もう 大昔の話さぁ。 まだ 戦争が始まる前 あの2人は 結婚するはずだったらしいよ。」
暢子「オーナーと 三郎さんが?」
順次「いや 俺も詳しいことは 知らんけど。 わざわざ 聞くこともしないし。」
暢子「何で?」
順次「いや 何でって…。」
田良島「分かってても 分かってないふりを した方がいいこともある。 世の中は 不公平で理不尽なことが たくさんある。 時代の流れで 思わぬ方向に 人生が変わってしまったり ほれ合ってるののに 結ばれないなんてこともある。」
田良島「頑張れば 必ずハッピーエンドになる。 …わけでもない。 頑張っても 頑張っても どうにもならないことがあるのが人生。 だけどね。」
暢子「だけど?」
田良島「『明日は きっと いい日になる』と 思うことが大事。 何があっても 諦めないで どうすれば 少しでも楽しく 希望を持って生きていけるか。 料理作りも 新聞作りも そんな思いを込めて やってるんじゃないかな。」
順次「ヘッ 参ったヤッサー。 田良島さんに 言いたいこと 全部 言われてしまったさ。」
(笑い声)
順次「王手!」
田良島「えっ?」
順次「王手。」
田良島「はっ 王手?」
病院
歌子「お母ちゃん。」
優子「ん?」
歌子「もしも 検査の結果が すごく悪くても お願いだから 高い薬は使わないで。 こっちで入院は 嫌。 うちは 沖縄のおうちに帰りたい。」
優子「歌子…。」
(ドアが開く音)
看護婦「比嘉歌子さん。 お母さんも ご一緒にどうぞ。」
優子「あっ… はい。」