連続テレビ小説「ちむどんどん」60話「古酒(くーす)交差点」

レストラン・フォンターナ
オーナー室

暢子「であるわけさぁ。 何で 今のままで いられないんですか? みんな 結婚とか考えないで 何もかも 全部 今のままで いいじゃないですか! あ~! あっ もう一杯 いいですか?」

房子「フッ あんた そういう酒だったの?」

暢子「これ 本当に まろやかで うちにの 飲みたい時があるんですよ。」

房子「もういい ぼちぼち帰りなさい。」

暢子「質問に答えて!」

房子「フッ…。 愛が恐れているのは 愛の破滅よりも むしろ 愛の変化である。」

暢子「アイ?」

房子「ニーチェの言葉。」

暢子「にーちゃん?」

房子「ドイツの哲学者 フリードリッヒ・ニーチェ。」

暢子「うちは 恋愛も結婚もしない。 料理が 恋人です。 どうせ うちは 豚ですから。」

房子「豚?」

暢子「『豚に真珠』って言われたんです。 そもそも みんな どうやって 恋愛したり 結婚したりするんですか? うちには さっぱり分からん。 あ~…。 やんばるの頃に 戻りたいさぁ。」

房子「つまり あなたは 生まれて初めて 恋をしたっていうこと?」

暢子「恋? うちが? まさかやー。」

房子「胸がドキドキして 気が付くと ボーッと誰かのことを考えちゃう。」

暢子「あっ そうです そのとおり! 何で 分かるんですか・ うちは どうすればいいんですか?」

房子「答えは あなたにしか分からない。」

暢子「それが 分からないから 聞いてるわけさぁ。」

房子「でも あなたのお父さんやお母さんも なぜか惹かれ合って 夫婦になって だから あなたが生まれた。 みんな そういうものじゃない?」

暢子「お父ちゃんと お母ちゃんも…。 お母ちゃん… 会いたい。 お父ちゃん 会いたい。 う~…。」

房子「大丈夫?」

暢子「あ… あっ もう一杯いいですか? これ 本当に飲みやすくて…。」

房子「フフッ…。 しょうがないねえ。」

暢子「ん~…。」

房子「フフフフフッ…。」

暢子「幸せって 何ですか? どうやったら なれるんですか? だけど うちの幸せは うちにしか 決められないじゃないですか。」

房子「だから あなたはどうしたいの? まず それを決めなきゃ 話は 前に進めない。」

暢子「でも 恋人がいるんだのに 好きとか 言えないじゃないですか。 えっ? 今 うち 何て? えっ? アイヤー…。」

暢子「ぽってかす…。」

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