レストラン・フォンターナ
オーナー室
(ノック)
房子「どうぞ。」
(賢秀のいびき)
暢子「はぁ~…。 すいません。 ニーニー! 起きて。 帰るよ。」
賢秀「ん… ああ…。」
暢子「はい。 ん~!」
賢秀「ああ… ああ…。」
房子「店で ワイン8本頼んで 半分は 一人で飲んじゃったの。」
暢子「アイヤー。」
回想
矢作「お待たせいたしました。 1070年の バルバレス・ラスぱどーりでございます。」
賢秀「貸せ!」
回想終了
暢子「ぽってかす! 何やってるわけ?」
房子「その上 ここで待たせていたら 私の… 秘蔵のワインを勝手に…。」
暢子「申し訳ありません!」
房子「ピエモンテで ロンバルディアで トスカーナで カンパーニャで 私が集めてきたワインを…。」
暢子「一生かかっても 償います!」
賢秀「幸せになれるかな…。 俺が 幸せにしてやりたかったヤッサー…。」
暢子「ちゃーならん! もう帰るよ!」
賢秀「直美~!」
房子「あ~ やってらんない。 私に つきあいなさい。 おいしい酒でも飲まなきゃ やってらんない。」
暢子「えっ うちが オーナーと2人でお酒を?」
房子「これは 頂き物の沖縄の古酒(くーす)。 20年ものよ。 あなたには もったいないけど。」
暢子「古酒?」
房子「丁寧に 仕次ぎをして 泡盛を熟成させたもの。」
暢子「あ~ 実は うち 泡盛は あんまり得意ではなくて…。」
房子「古酒。」
暢子「じゃあ 一杯だけ。」