比嘉家
「組合の仲間として 相談には乗るけど 借金は 銀行に400ドル 賢吉さんに100ドル 合計で 500ドルか。」
賢吉「とにかく 銀行の分をどうにかしないと 保証人の俺らも共倒れヤサ。」
「返せる当て あるね?」
賢吉「とにかく この家も売って 借金返さんと!」
良子「家を売る?」
暢子「まさかやー。」
賢秀「この家は 父ちゃんが作った家です。」
賢吉「賢秀!」
良子「この家は 売らないよね?」
賢秀「だからよ。 売るわけないさ。」
暢子「お母ちゃん。」
優子「働きます。 お願いします この家だけは…。 力を貸してください どんな仕事でもします!」
暢子「うちも手伝う。」
良子「お母ちゃんを助けます。」
歌子「うちも!」
賢秀「任されたんです 父ちゃんに。 母ちゃんを頼むって。」
優子「お願いします!」
子供たち「お願いします!」
「賄い婦を探してる 工事現場がなかったか?」
優子は 毎日早朝に家を出て 新しい仕事へ通うことになりました。
子供たちも みんな今までより早起きして 豚の世話 畑仕事 まき拾い 洗濯などの仕事を分担し。
料理担当は 暢子。 10歳にして お金のことも考えながら 炊事に追われます。
賢秀「頂きます。」
良子 暢子 歌子「頂きます。」
賢秀「ん? 何でかねえ つながってるさー!」
暢子「しかたないさ。」
工事現場
(笛の音)
親方「飯やんど!」
優子「どうぞ。」
工事現場の賄いは 現金収入が得られる貴重な仕事です。
比嘉家
優子「ただいま。」
賢秀「お帰り。 母ちゃんが最初に風呂に入って。」
優子「ありがとうね。 母ちゃん 後でいいから 先入って。」
ですが そんな張り詰めた暮らしを 子供たちが長く続けられるわけはなく…。
良子「あ~! ニーニー まき割り途中でしょう!」
賢秀「だからよ。 俺はもう くたくた。 歌子!」
良子「歌子は まだ3年だよ!」
賢秀「俺も 3年生さ!」
やがて 10日もたつと…。
良子「ニーニー!」
賢秀「あっ! 今日だけ! もうちょっと… 今日だけさぁ!」
暢子「あっ あっ~!」