連続テレビ小説「ちむどんどん」89話「しあわせのアンダンスー」

比嘉家

歌子♬『汝はそも 波に幾月』

(拍手)

歌子「あっ…。」

智「上等さ。 暢子も きっと喜ぶはずよ。」

歌子「だからよ。 1人の時は ちゃんと歌えるわけさ。」

智「ハハッ…。 …で 頼み事って?」

歌子「ああ 暢ネーネーの披露宴の日 うちを 那覇の空港まで送ってくれない?」

智「えっ おばさんや良子は?」

歌子「お母ちゃんたちは 前の日に出発するんだけど うちは 名護で最後の練習があって 1人だけ 当日の朝の飛行機で行くわけ。」

智「なるほど…。 分かった。 じゃあ 当日の朝に 迎えに来るよ。」

歌子「本当? ありがとう。 それで その… 披露宴のことなんだけど もし よかったら 智ニーニーも…。」

智「その話は なし! 俺がいたら せっかくの披露宴が 台なしになるさ。 フッ…。」

そして いよいよ 暢子と和彦の 結婚披露宴に日が やって来ました。

レストラン・フォンターナ

二ツ橋「本当に よかったんですか? 結婚式に ご出席なさらないで。」

房子「私は ここ 披露宴会場の責任者だもの。 あるでしょ いろいろやることが。」

二ツ橋「三郎さんと多江さんも いらっしゃるんです。 ちゃんと 隠れずに 受付にいてくださいね。」

房子「分かってるわよ。」

二ツ橋「暢子さんに きつく言われていますので。」

比嘉家

智「歌子 準備できてるか? お邪魔します。 歌子。」

智「歌子!」

歌子「ちょっと 熱が…。」

智「熱? どうするわけ?」

歌子「披露宴には 絶対 行く。」

智「そんな体で…。 ちょっ ちょっ…。 東京に着いたら 誰か 迎えに来るのか?」

歌子「電車に乗って お店まで 一人で行くことになってる。」

智「それは 無理だろ。 誰かに迎えに来てもらうか タクシーで行け。」

歌子「智ニーニー お願いがある。」

智「ん?」

レストラン・フォンターナ
玄関前

重子「着いた。」

(ドアベル)

ホール

石川「はい 座るよ。 はい。」

晴海「真ん中。」

石川「うん 真ん中。 やんばるに こんな店ないね。」

良子「うん。」

晴海「きれい。」

石川「フフッ」

良子「ねえ。」

厨房

二ツ橋「乾杯用のスプマンテは 冷えてますか。」

江川「はい もちろんです。」

長山「オーナー!」

二ツ橋「何をしてるんですか。 もうすぐ 三郎さんたちが お見えになるはずでは?」

房子「あっ 味付けの最終確認しないと ちょっと 気になって…。」

二ツ橋「昨日の夜にされてます!」

房子「いや あのね え~っと 配席表の紙をどこかに…。」

二ツ橋「ここにあります! 隠れようとしても駄目です!」

房子「前菜 やっぱり 今のままだと…。」

二ツ橋「もう逃げられませんよ! オーナー! オーナー! オーナー!」

房子「ちょっと…。」

二ツ橋「オーナー!」

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