控室
良子「来れないって どういうこと? 妹の披露宴より大事な用事は何?」
養豚場
賢秀「俺だって『時間よ止まれ』を グレイトに熱唱するつもりだったのに!」
清恵「産まれるよ!」
賢秀「産まれるわけ。 予定より早く しかも 3頭いっぺんに!」
良子「うまれる? さんとう?」
(電話が切れる音)
賢秀「急げ! 早く 早く 早く!」
フォンターナ
控室
良子「もう…。」
(ドアが開く音)
三郎「おい。 歌子ちゃんと一緒に 智が来てるぞ。」
良子「えっ!?」
三郎「こっちこっち。」
玄関前
智「いや だから 何度も言ってるさ。」
歌子「中まで。」
良子「アイエー 智! 沖縄から 歌子と一緒に?」
智「いや 俺は…。」
良子「ニーニーが来られなくなったから ニーニーの席に座って!」
智「何で 俺が?」
歌子「いいから 早く!」
智「歌子 熱は? いつの間に治ったわけ?」
歌子「今日は 熱は出てないさぁ。」
智「はあ!?」
三郎「おい 智 智! 観念しろ!」
順次「来い!」
智「待って…。 何? どうなってるわけ? ちょっ…。 うわ~! 何これ! あ~っ!」
オーナー室
暢子「お母ちゃん 落ち着いて! こっちに来て。」
優子「うちの方が 緊張してきてしまって。 重子さんは 大丈夫かね。」
暢子「大丈夫だから いいから 座って。 大事な話がある。」
優子「えっ 何?」
暢子「お父ちゃん 今日は 一生に一度の うちが お母ちゃんにできる 精いっぱいのい感謝に日です。 どうか 天国から 見守っていてください。」
優子「暢子…。」
暢子「お母ちゃん…。 長い間 お世話になりました。 うちは お嫁に行っても ずっと お父ちゃんとお母ちゃんの 娘だからね。」
優子「ありがとう。」
暢子「お母ちゃん…。」
優子「アリアリ もう 暢子 ドレスが崩れてしまうよ。」