夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第17回)

野本「できました~!」

南雲「すごい!」

野本「山盛りのドーナツって 絵本みたい。 あ 写真撮らなきゃ。 写真 写真。」

(シャッター音)

野本「いいですか。」

野本「ありがとう。」

(シャッター音)

野本「うん いい感じ。」

春日「南雲さん 飲み物なら大丈夫ですか? 何か飲まれますか?」

野本「あ 牛乳はあるから ミルクティーとか作れます。」

南雲「あ じゃあ はい。 いただきます。」

野本「ん~ うん 甘みちょうどいい。」

春日「おいしいです。」

野本「ねえ。」

南雲「ミルクティー おいしいです。」

野本「ほんと? よかった。 あっ。 南雲さん ドーナツ あとで持って帰りませんか? おうちでなら食べられますか?」

南雲「あ はい 1人なら。 いいんですか?」

野本「もちろんです。 明日の朝ごはんとかに。」

南雲「ありがとうございます。 何だか こういうこと すごく久しぶりです。 食べ物を囲んで 人と話すっていうことが。」

野本「そっか。」

春日「もし答えられたらでいいのですが 南雲さんは いつから人と食事をするのが 苦手というか 難しくなったんですか?」

南雲「小学生くらいからですかね。 ネットで知らべたら 会食恐怖症というのがあるみたいで。」

野本「会食恐怖症?」

南雲「小学校の時の居残り給食とかが原因で なる人が多いらしくて。」

野本「ああ 居残り給食って 私たちの頃もあったよね。 次の授業まで 給食下げてもらえない子がいて かわいそうだったことある 怖い先生で。」

南雲「そうです。 それから 誰かと一緒に ごはんに行く時には 食べられなかったら どうしようとか 残しちゃったら どうしようとか いろいろ 不安が止まらなくなるんです。」

春日「それは つらいですね。」

野本「あの 会食恐怖症というのは 私 知らなかったんですけど 病院とかにかかってるんですか?」

南雲「あ… 病院とかは行ってなくて。」

野本「そうですか。」

南雲「病院に行って よくなるなら 一度行ってみるのもいいかも しれないなとは思ってるんですけど。 ふだん なかなか人にも言えなくて 人間関係 うまくいかなくなっちゃうことも 多かったんです。 でも こうやって 飲み物だけでもいいって 食べないでも大丈夫って 言ってもらえるのは すごく心が楽なんだなって気付けました。 今は食べられないですけど 明日 楽しみに食べます。」

野本「よかったです。 あ 春日さんも持っていって下さいね。」

春日「ありがとうございます。」

野本「はい。 ちなみに 何個持っていきますか?」

春日「4… 5個。」

野本「おっ!」

春日「6個。」

野本「6個! アハハッ 結構いきますね。」

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