春日「どうぞ。」
野本「ありがとう。 冬野菜のポトフ?」
春日「はい。」
野本「おいしそう。」
春日「食べましょうか。」
野本「はい。」
2人「いただきます。」
野本「ん~… 優しい味。 野菜のだしが すっごく出てる。」
春日「よかったです。」
野本「野菜一つ一つが大きいのが 春日らしい。」
春日「大きすぎましたか。」
野本「あ ううん ちゃんと やわらかくなってるし 味がしみてる。 早くから作ってくれてたの?」
春日「いえ… あ はい。 少し。」
野本「これも食べてみよう~。 おいし~い。」
春日「これは…。」
野本「いちごパイ 作ってみちゃった。 あ パイ生地は冷凍のやつで カスタードは作ったんだけど 全然簡単なの。」
春日「野本さん すごすぎます。」
野本「あ いや… そんなことないけど。 こないだ いちご狩り 行けなかったから。」
春日「それは 本当に…。」
野本「うん。 分かってる。 でも 少し あのあと考えたんだよね。 ほら ごはん屋さんもさ 調べてくれてたでしょ。 一緒に行こうって 思ってくれてたんじゃない?」
春日「それは 私が言わなかったですし。」
野本「うん… そうだけど。 私 春日さんが 何がしたいとか どこに行きたいとか知りたいし 一緒にしてみたいって思ってるんだけど ちゃんと聞けてなくて ごめんね。」
春日「いえ。 お皿 出しますね。」
野本「あ うん。」
春日「確かに 自分がどうしたいとかを 人に伝えるのは 苦手かもしれないです。 小さい頃から 家では我慢しがちで 自分の要望などを 言えないことが多かったので。 あと つきあうって どういうことなのか それも少し悩んでいました。 経験がないので。」
野本「うん。」
春日「人づきあいとか 自分の気持ちを言うとかが うまいほうではないので 野本さんを 不安にさせてしまっていましたよね。」
野本「ううん そんなことないよ。 でも…。 これからさ 家を探したり 一緒に暮らしたり 新しいことが たくさんあるから。 春日さんに 知らない間に 我慢させちゃってたら すごく悲しくて。 私の前では わがままも言ってほしいです。」
春日「はい。 野本さん ありがとうございます。」
野本「うん。 つきあうっていうことも 私も手探りだよ。 一緒に 探っていこう。」
春日「そうですね。 いちごパイ 食べたいです。」
野本「フフッ 食べよっか。」
春日「はい。」
野本「おいしいね。」
春日「はい。」