古波蔵家
部屋でエアギター中の恵達
恵達「♪『ダダダダ ダーン ダーン…』。」
恵里「ただいま…。」
勝子「お帰り。」
恵里「琉美子は 誠が好き。 誠は 恵里が好き。 恵里と琉美子は 友達…。(溜息)」
恵尚「ただいま!」
勝子「お帰りなさい!」
恵尚「出来たよ! 試作品!」
勝子「どれ 見せて!」
恵尚「ヘヘ…。 見たいね?」
恵文「どうした? 恵里。」
勝子「さあ?」
恵尚「恵里! 恵里! 出来たよ!」
恵里「え? あ! 出来た! 見せて 見せて!」
恵文「恵達!」
恵達「おう!」
恵文「いた いた! 早く 早く!」
恵尚「え それでは…。 プロデューサーの手で お願いします。」
恵文「そうかね…。」
恵尚「はい。」
恵文「じゃ 失礼して…。 本日は…。」
ハナ「いいから 早く しなさい!」
恵文「はい じゃ… オープンです!」
恵里「お~っ!」
ハナ「本当に 作ったんだね。」
恵尚「何 言ってる おばぁ! 恵里 どうか?」
恵里「うん いいかも!」
恵尚「おふくろさんは?」
勝子「私には 分かんないけど 売れると いいね。 ていうか 売れてくれないと困るのよ。」
恵尚「大丈夫だって! ただ 1つだけ 迷ってる訳よ。 ここ 今 ヘルメット 黒さ。 もう1個 こういうのも ある訳よ。」
恵里「へえ なるほどね!」
恵尚「難しいだろ 迷うだろ 悩むだろ な?」
恵文「ま プロデューサーとして言わせてもらえばね。」
勝子「私は 赤が いいな。」
恵文「何で?」
勝子「『何で』って?」
恵文「赤は 女色さ。」
勝子「何それ? 黒はね こういうのの場合 悪者色なのよ 正義の味方は 黒じゃないよ。」
恵文「そんな事ないさ。」
勝子「あるわよ 恵里も そう思うよね?」
恵里「あ うん 私も赤かな?」
恵尚「ふ~ん。」
勝子「ほら。」
恵文「おばぁは?」
ハナ「おばぁは 黄色かね。」
恵尚「ない物 言わんでよ。」
ハナ「何で 赤と黒しかないのか? 何で 黄色は ダメである訳?」
恵尚「そういう事で なくてさ…。」
ハナ「おばぁは 黄色!」
恵達「あのさ!」
恵文「どっちの味方だ 恵達は?」
勝子「そうよ どっちの味方!」
恵達「大の大人が 本気でけんかする事か? どう思う訳? 恥ずかしいんだけど 聞いてて…。」
勝子「大事なことじゃないの。」
恵文「そうさ 大事な事さ 古波蔵家の運命が懸ってるんだよ。」
勝子「そうよ 古波蔵家が どうなるか これで 決まるのよ。」
恵達「何 それ?」