柴田「何度も 後ろを振り返る娘を 笑顔で たしなめ パパは思う。『ウチの子が 一番かわいい!』そして 作文を読む。」
柴田「『私の夢』。 彼女の番だ。 心配で心配で たまらないパパ。」
文也「頑張れ!」
柴田「『私の夢』。 『私の夢は お嫁さんに なる事です。 大きくなったら パパと結婚したいです』感動だ! 涙を止める事が できない。 一目もはばからず 泣いてしまうパパ。」
恵達「ああ!」
文也「ああ!」
真理亜「そんな娘も やがて 大きくなり最近はパパと遊ばない。」
柴田「え?!」
文也「え?」
真理亜「久しぶりに 早く帰宅したパパは『一緒に おふろに入ろうか?』と 誘ってみるが まるで 汚い物でも見るかのような 軽蔑のまなざしで 見られてします。」
真理亜「中学生になった娘に 『一緒に買い物でも行こうか?』と 日曜日に誘うパパ。 だが 返事は つれない。『お金だけ ちょうだい 友達と行くから!』そして 最近 娘は つきあってる 男が いるらしいではないか? しかも その男は… フフフ…。」
恵里「ただいま!」
真理亜「あ…。」
恵里「どうしたの?」
真理亜「あ~あ! 今 とどめを刺そうと 思ってたのに。」
恵里「文也君?」
文也「え!」
恵里「どうしたの? 目が うるんでるさ。」
文也「ごめん 行こうか。」
恵里「うん。」
真理亜「惜しかったな。」
恵達「何で 俺まで?」
柴田「楽しいですか?」
真理亜「うん 楽しいよ。」
上村家
リビング
静子「ふ~ん すごいんだな? 最近の出産は。 これ かわいいな たまんない! かわいいな!」
近所の奥さん「え! そうなの 恵里ちゃん!」
恵里「そうなんですよ!」
玄関前
近所の奥さん「やったわね! よかったわね 予定日は いつ?」
恵里「はい 7月20日です。 とっても順調らしく『安産型だから 大丈夫』と言われました ね?」
文也「え?」
近所の奥さん「何でも聞きにいらっしゃいね。」
恵里「ありがとうございます。」
近所の奥さん「あ! 上村さん。 おめでとうございます 初孫ね?」
静子「どうも…。」
文也「どうしたの?」
静子「え?」
恵里「こんにちは!」
静子「こんにちは! どうぞ!」
恵里「はい!」
静子「あ! ちょっと待って! ここで待っててね。」
リビング
静子「そう 順調なの? それは よかったわね。」
恵里「はい ありがとうございます。」
文也「何か 意外と冷静だね?」
静子「産むのは 恵里ちゃんでしょ? 興奮して取り乱すと思った?」
文也「そこまでは 思ってないけど。」
静子「ならいいけど。」
恵里「でも いろいろ教えて下さいね。」
静子「え? 私。」
恵里「はい だって 先輩ですから。」
静子「私の時と時代が違うからね。 最近は 助産院で産むのが 人気みたいね。」
恵里「え?」
文也「何で知ってんの?」
静子「え? ああ たまたま 美容院で読んだだけよ。」
恵里「あ?」
静子「あ!」