スタジオ
猛「どうした? 恵達。」
恵達「言いだしにくいんですけど まだ曲も書けてないでいるのに…。」
猛「何だよ 言えよ!」
恵達「姉え姉えが 子供を産むんです。 それで 予定日が 7月20日なんですよ。」
猛「7月20日? それ明日だろ?」
恵達「はい。 それで 兄い兄いも帰ってくるって 言ってたし。 俺だけ行かないというのも 何か あれだなと思って。 落ち着かなくてですね。」
猛「恵達…。」
恵達「はい。」
猛「姉え姉えは 沖縄で産む訳か?」
恵達「はい。 ダメですよね?」
猛「一体 何を言ってるんだ? お前。」
恵達「すみません。」
猛「帰らなきゃダメだろ!」
恵達「は?」
猛「姉え姉えが 子供 産むんだろ! 帰らなきゃダメだ。 決まってる!」
恵達「え?」
猛「お前 何言われるか 分からんぞ!」
恵達「『何』って?」
猛「俺の姉え姉え 子供 産んだ時にさ 海外に レコーディングに行ってて どうしても 沖縄の家に 帰れなかった。 家族で俺だけよ。 そうしたら どうなったと思う?」
恵達「え?」
猛「いまだに 沖縄に帰って来ると 姉え姉えが子供に『あんたが産まれてくる時に 来てくれなかった 猛叔父さん』こうだよ! あれは 何歳になっても 言ってると思う。」
恵達「なるほど。」
猛「だから 帰らなきゃダメだ。」
恵達「すみません。」
猛「沖縄に行って リフレッシュしてこい! もしかして いい曲が 出来るかもしれないぞ。」
恵達「はい! ありがとうございます!」
古波蔵家
居間
恵里「ふう…。」
台所
勝子「もうすぐですかね? 恵里。」
ハナ「そうかもしれんね。」