ゆがふ
兼城「うれしいね。 ウチで 食べたいって 言ってくれたわけ?」
恵理「好きなんですよ。 ね 和也。 『ゆがふ』の ご飯 好きだよね。 おいしいよね。」
和也「うん。 でも おばぁの方が もっと おいしい。」
兼城「ハハハハ。」
奈々子「こんばんは。」
恵理「あ!」
奈々子「あれ?」
遥「こんばんは。」
恵理「どうも…。」
兼城「時々 寄ってくれるさ。」
恵理「ええ そうなの うれしいなぁ。」
和也「こんばんは!」
奈々子「ああ 和也君 こんばんは 大きくなったねぇ。」
和也「大きくなったさ。」
遥「人見知りしないんだね。」
恵理「はい 全然。」
遥「母親似だねぇ。」
奈々子「そうだねぇ。」
兼城「であるね。」
(笑い声)
(戸が開く)
黒島「こんばんは。」
兼城「黒島君。」
黒島「入って 入って あの 彼女 連れてきました。」
兼城「え~!」
マサル「どうも。」
綾乃「綾乃です こんばんは 初めまして。」
ヒトシ「どうもです。」
千春「千春です こんばんは。 あいや ここが『ゆがふ』か 一度 来たかったんだよね。」
綾乃「うん ここね いい感じ。」
兼城「いいけどさ。 表の はり紙 見なかったわけ?」
ヒトシ「あったか? そんなの。」
マサル「なかったさ 何も ね。」
兼城「あれ?」
恵理「黒島さんは?」
黒島「はい 実は 僕だけ いないんです。」
兼城「ハハハハ そうね ハハハハ。」
黒島「何で そんなに 喜ぶんですか?」
和也「いらっしゃいませ。」
千春「ありがとう。」
綾乃「かわいい。」
恵理「ハハハ どうも…。」
そんな 幸せな ある日のことでした
一風館
玄関前
和也「遊んでいい?」
恵理「ああ いいけど どっか行ったりしたら ダメだよ。」
和也「分かってるさ。」
財布を拾う和也
和也「あ!」
回想
和也「お母さん」
恵理「あ 落とし物だね」
和也「どうすればいいの?」
恵理「たとえ 10円でも 落とし物 交番のお巡りさんに 届けようか」
和也「うん」
文也「じゃ お巡りさんの所 行こう
回想終了
和也「お巡りさん。」
サロン
みづえ「頑張って 重かったでしょう。」
恵理「いえ いえ 大丈夫ですよ。 あの でも つい お菓子 買ってしまいました。 すみません ゆんたく用に。 あそこのパン 買ってきました。」
みづえ「ちょうどよかった。」
交番へ向かう道中
男1「おい チョット 待て! 坊や それ どうするつもりだ?」
男2「これ お前のなの?」
男1「ああ そうだよ。」
男3「坊や どうするつもりだったの?」
男1「そのまま 自分の物にする つもりだったのか? ん? お金を拾ったら 届けなきゃ いけないんだぞ。」
男2「お母さんにね 心配かけちゃいけないよ。」
男3「そうだよ 分かった?」
和也は 声が出ませんでした。 怖かったんだろうねぇ。 無理もないさ。 交番に 届けようとしたんだのにねぇ
一風館
サロン
恵理「おしょうゆも あるし…。」
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