診察室
恵理「選択的かん黙… ですか?」
岡山「おそらくね。 きっと 大人というより 他者かな。 つまり『知らない人が怖い』と 思い込む事が あったんでしょう。」
恵理「どんな? 何が あったんですか?」
岡山「それは 分かりません。」
文也「本人に聞いても 分からないという事ですか?」
岡山「ええ ちゃんとした 自覚は ないでしょう。 ただ『知らない人は怖い』という 思いだけが あって 体が 反応してしまうんだと思います。」
恵理「知らない人が怖い…。」
回想
男「こんな ちっちゃい子が いるんだね。 一風館さんに。」
柴田「和也君。」
文也「和也!」
回想終了
岡山「あったんでしょう きっと。 そういう事が。」
恵理「どうすれば… どうすれば 治るんですか?」
岡山「それは分かりませんね。」
恵理「え?」
岡山「いつの間にか治ってしまう それが 一番 多いですね。 ある程度の年齢でしたら その原因を つまり トラウマを 本人と一緒に探って 心を開放して あげる事も出来るんですが 4歳ではねえ…。」
文也「何も出来ないという事ですか?」
恵理「先生。」
岡山「いえ そんな訳では ありません。 ただ 心の病気には あなた方が しておられるような 治療とは違う 時間が 必要だという事です。 時間がね…。 ゆっくり 解きほぐして あげるしか ないんですよ。」
恵理「和也…。」
一風館
マンデリン
辛いねえ 恵理。 何も してあげられないのは 親にとっては 一番 辛いさ。 子供のためなら 自分の命だって 投げ出せる それが 親だからねぇ。 でも 恵理の辛さは これだけでは ありませんでした
北栄総合病院
廊下
恵理「何? これ。」
一風館
マンデリン
和也「お父さん もっと遊ぼう。」
文也「あ ごめん ごめん。」