内視鏡後
恵理「ありがとうございました。 お疲れさまでした。」
遥「うん。」
恵理「ポラ見せてもらえますか？」
遥「あ… うん。」
恵理「悪性の潰瘍ですかね？」
遥「あなた…。」
恵理「もうひとつ… 西宮先生 じゃなくて 遥さんに お願いがあるんです。 このこと 誰にも 言わないでほしいんです。」
遥「え？ どういうこと？」
恵理「ないしょにしてほしいんです。 誰にも… もちろん 文也君にも。」
遥「何で？ だってさ もし そうだとしても 早期に手術すれば 治るよ。 そうでしょう？ しないつもりなの？」
恵理「今は… 嫌なんです。」
遥「何？ それ… 何で？」
恵理「今は することがあるから 今 入院したり 手術したり… 嫌なんです。」
遥「何 言ってるの？ あなた それでも 看護婦？」
恵理「間違ってるのは 分かってます。 分かってます。 でも 絶対に 嫌なんです。 お願いします… このとおりです。」
遥「それで 私に 頼んだんだ。 …分かってたんだ。」
恵理「看護婦ですから これでも…。」
遥「（ため息）メチャクチャだね…。 とにかく 理由を ちゃんと 話して。 じゃないと そんな約束 できる訳がない。 私だって 医者なんだから…。」
恵理「はい。」
一風館
マンデリン
和也「お父さん これ 何？」
文也「うん？ これか？ これはさ…。 ほら…。」
