勝子「え~!」
ハナ「あんたも 間の悪い男だね。」
島袋「は?」
恵文「島袋君だったね。」
島袋「はい…何でしょう?。」
恵文「念のために 聞くけどさ 工場の経営は 順調?」
島袋「ええ まあ 細々ですが 順調にやってます。」
恵文「はいはい… 家族は いるの?」
島袋「いやぁ これが独りもんで でも 気楽なもんですよ。」
恵文「そうかねぇ。 それは よかった なあ!」
勝子「え? ねえ よかったね!」
島袋「『よかった』って 何が?」
恵文「それなら ちょっとぐらいね!」
ハナ「そうそう ちょっとぐらいね!」
恵里「ご飯 ご飯…。」
島袋「『ちょっとぐらい』何です?」
ハナ「いつでも いらっしゃいね。」
島袋「ありがとうございます。」
ハナ「これから 長~い つきあいに なるからさ。 はい!」
島袋「『長~い』?」
恵文「うん そうよ。 とっても長いさぁ!」
帰り際
島袋「なんか 不安なんですけど…。」
勝子「島袋君。」
島袋「はい?」
勝子「ごめんね 恵尚 消えてしまったさ。」
島袋「え~っ!」
勝子「でも大丈夫 私が払う ちゃんと…。 すぐにって訳に いかないし 分割になるんだけど 必ず 払うから…。」
島袋「そうですか 消えましたか 分かりました。」
勝子「ごめんね。」
居間
勝子「お母さん。 恵尚は 気づいてしまったのかね あの事?」
ハナ「ああ そうかもしれんね。」
恵里「『気づいた』って 何を?」
勝子「余計な事したのかね? 私…。」
恵文「そんな事 ないよ。」
恵里「ねえ 何の事?」
勝子「あのね…。 『売れた 200いくつ』っていうのは ほとんどが 比嘉の家の親せきな訳…。」
恵里「え?」
恵達「ウソ じゃあ 実際 売れたのは いくつ?」
勝子「合計で 7ぐらいね。」
恵達「うわ…。 1万個 作って たった70個?」
ハナ「だから 会わす顔が なくなったんじゃないかね?」
恵里「そんなの おかしいさ 家族なのに。 兄い兄いも 兄い兄いだよ。 あれだけ 頑張ろうって約束をしたのにさぁ。」
恵達「そうだよね…。」
恵文「男は 傷つきやすい生き物さ。 うん 分かるな 恵尚の気持ちは…。 ちょっと 仕事 行ってくるからね」
勝子「はい… 恵文さん…。」
恵文「何?」
勝子「本当に すみませんでした。」