ハナ「あらら そうなるの?」
恵文「おばぁ 勝子に失礼だよ。」
ハナ「何がよ 失礼なのは お前だよ。 この バカチンが…。」
恵文「バカチンって…。」
ハナ「情けないよ おばぁは。 不倫かと 思えば ただの片思いだよ。 情けないね 男としては。 男はね 女に ほれられて 困るようでなければね。」
恵里「そうなれば そうなったで 困る…。」
ハナ「この間 新聞にあったけどね 沖縄は 離婚が 全国一多いってよ。」
恵文「え?」
勝子「知ってます。 原因の ほとんどが 女性の方が どうしようもない男に 愛想をつかした結果だそうです。」
ハナ「ウチは 大丈夫かねぇ。」
恵文「何を言うか おばぁ 大丈夫さ ウチは。 ねえ?」
勝子「それは このあとの話に よります。」
恵文「そんな…。」
勝子「ああ もう! 何の話 してるのよ! 恵里の話でしょう!」
恵文「そうだよ おばぁが 悪いんだ!」
ハナ「何が?」
恵文「いや 何でもない…。」
恵里「もう… 私の話は もう いいさぁ。 私は 東京の大学に 行くの!」
恵文「ダメ! 恵里は 沖縄にいなさい。」
恵里「ダメじゃない!」
勝子「恵文さん『黙ってて』って 言ったでしょう!」
恵文「ヤダ!」
勝子「いい加減にして! マジメに やって!」
恵文「やってるさあ!」
恵里「ケンカしないで! もう!」
ハナ「いい加減にしなね。」
沖縄のことばでしゃべりだすハナ
恵達「今 おばぁ 何て言った?」
恵里「全然 分からん。」
勝子「私も ほとんど。」
恵文「俺も よく分からんよ。」
ハナ「ああ 情けないねぇ。 じゃ おばぁが やまとことばで 言って聞かすよ。『いい加減にしなさい。 家族とは 仲よくして暮らしていくためにあるものであって ののしったり どなったりしあう ために あるもんじゃないよ。』」
ハナ「『そういう家庭だったら おばぁは このウチから 出ていくよ。』」
恵里「え?」
ハナ「迫力ないねえ やまとぐちでは…。」
島袋「すみませ~ん。 今月分の集金に伺いました! 島袋です~!」
勝子「恵里 チョット あがって もらいなさい。」
玄関
恵里「ああ どうぞ 入って下さい。」
島袋「あ そう 悪いね。 じゃ お邪魔しますねえ。」
居間
島袋「あれ? これチラガーじゃないの? いんやー 珍しいもん 食べてますねぇ。」
ハナ「あんたは ホントに 間の悪い男だねえ。」
島袋「は?」
勝子「じゃ これ 今月分です。」
島袋「すみませんねえ。 余り無理しないで下さいね。」
ハナ「そうかい?」
島袋「あれ いや おばぁ…。」
ハナ「冗談さぁ。」
島袋「おばぁのは 冗談に思えないさぁ。」