そこで電話が鳴る
ハナ「だぁだぁ おばぁが 出るさ。」
ハナ「もしもし? はい『こはぐら壮』? ああ はいはい そうですよ。 はい? 予約がしたい? 何の? ああ 宿泊のね? はいはい チョット お待ち下さいませ 社長に代わろうねぇ。」
ハナ「社長!」
恵文「え? あ 俺か。」
恵文「もしもし? はいはい こはぐら壮社長の古波蔵恵文と いう者でございますです。 はい はい 上村様…。 はい 3名様で…。」
恵文「はい え~と 1泊ですね 2食ついてからに 3000円ということになってます。え あの… お子様はですね ご飯は いっぱい 食べますか? あ そうでもない。」
恵文「あの 半額でいいですね。 はい はい なるほどね はいはい それでは お待ち申し上げておりますです。 はい どうも…。」
恵文「お客さんだよ お客さん…。 東京からの長期のお客さんてよ。 お母さんと 男の子が 2人。」
勝子「へ~え。」
恵文「なあ 無理やらんでも 待ってれば いい事は あっちから やってくるさぁ。」
ハナ「とうなあ。 年寄りは もう 寝ようねえ。」
恵文「なあ 勝子。」
勝子「そうかもね で いつ来るって?」
恵文「あさって。」
勝子「大変! 掃除やらんと。」
恵文「ハッハッハッハ。」
当日
男「あら お客さんね?」
恵文「そうさぁ。 今日は何が?」
男「タマン エーグヮー ミーバイがあるさ。」
恵文「後で もらいにいくから よろしくね。」
男「はい またね。」
恵里「気持ちいいねぇ。 あ お父さん 来たよ~。」
恵文「おう。 いや~ 久しぶりのお客様だねぇ。」
恵里「私 初めてだ お客さん。」
恵文「であるか?」
(汽笛)
恵文「はい~ ウェルカムです~!」
船上
静子「お母さん やっぱり 嫌だな こんな島に ずっといるの。」
和也「もう 決めたんだから。 やっと 来れた。 僕は… この島で… この島で 死ぬんだね。」
静子「何 言ってるの和也。 この島で 元気になるんでしょ? そのために 来たんでしょ?」
この船に乗って やってきた 東京からのお客が 民宿・こはぐら壮の 最後のお客である事を まだ 誰の知りませんでした
そして この時の出会いが 恵里の一生のうちで 1番大きな出会いである事を 恵里は まだ 知りませんでした
恵里「ウェルカムです~!」